[III-P02-3-04] 気管支喘息発作が心不全増悪に起因したファロー四徴症・肺動脈閉鎖・ラステリ術後の成人例
キーワード:ファロー四徴症, 気管支喘息, 心不全
症例は61歳女性。17歳の時にファロー四徴症、肺動脈閉鎖に対し心室中隔欠損パッチ閉鎖術とラステリ術が施行され、以後外来フォローされていた。X-6年心臓カテーテル検査で右室流出路に圧格差54mmHg、右室圧/左室圧=0.6の肺動脈弁狭窄と心房間交通を指摘されていた。X年4月肺炎を契機に気管支喘息発作を発症した。外来薬物治療で一度は改善したが、同年5月に食思不振、浮腫、呼吸苦が出現し前医へ救急搬送され、気管支喘息発作を合併した心不全による呼吸不全と診断され当院に転院搬送となった。心不全治療としてMRA、SGLT2、ARNIを導入し、気管支喘息に対してステロイド静注、コントローラーのステップアップを行い症状は軽快した。入院に対するストレスが強くカテーテル検査前に退院した。退院後の初回外来で倦怠感、酸素飽和度82%のチアノーゼを認めた。同日入院を勧めるも拒否し、在宅酸素を導入したが、2日後に発熱を主訴に来院され緊急入院した。気管支喘息増悪を疑う所見に乏しく、病態把握のため第10病日に心臓カテーテル検査を行った。その結果、呼吸器疾患による肺静脈での酸素飽和度低下、それに伴う平均肺動脈圧の上昇、心房間での右左シャント、両心室機能低下を認め、チアノーゼの原因と考えられた。その後、気管支喘息の加療を再開することによりチアノーゼは改善し、退院後も酸素化は良好に維持されている。今回、気管支喘息とそれに伴う肺高血圧症の合併、右左シャントによりチアノーゼが生じ、治療に難渋した症例を経験したので報告する。