[III-P02-3-05] 高肺血流型両大血管右室起始症(DORV), 大動脈弁下心室中隔欠損症(subaorticVSD)に対し手術を施行した62歳男性例
キーワード:DORV, VSD, 成人先天性心疾患
【緒言】成人先天性心疾患領域において、高肺血流型先天性心疾患無治療例の長期予後に関する報告は少ない。【症例】62歳男性、16歳のときにVSDを指摘されたが、無症候性のため経過観察されていた。47歳時に発作性心房細動、57歳時に心房粗動に対してアブレーション治療を行った。その際直近前医でのカテーテル検査で上記先天性心疾患に加え、軽度肺高血圧の指摘をされていたが手術の承諾はせず、その後も運動時の軽い息切れのみでADLはfullで社会生活を送っていた。入院1年前よりBNP 280 pg/mlから668 pg/mlまで上昇、治療目的で当院紹介となった。DORV、subaorticVSD、Qp/Qs 2.70, RpI 5.25, PAWP=15mmHg, mPAP=42mmHg, RVOTには筋性狭窄があり30mmHgの圧較差を認めた。PFOは認めなかった。その後根治術(心内血流転換・右室流入路異常筋束切除)を施行、右室圧/左室は術前8割から5割まで改善した。速やかに抜管可能であり、術後経過は良好であった。【結語】カテーテル結果を振り返ると、8年間の推移で肺高血圧は進行し、右室流出路狭窄の圧較差は低下していた。肺血流増加性心疾患は、60年以上の経過で肺高血圧が進行することがある。