[III-P02-3-06] 成人期に診断された修正大血管転位症の臨床像の検討
キーワード:修正大血管転位症, 成人先天性心疾患, 診断
【背景】修正大血管転位症(congenitally corrected Transposition of the Great Arteries; ccTGA)はVSDやPSなどの心合併病変が見られる場合が多く、乳幼児期に診断がつくことがほとんどである。しかし、心合併病変がない場合や軽度の場合は成人まで無症状に経過する。成人で診断されたccTGAの症状や診断時期・診断契機などの詳細は明らかではない。【目的】成人期以降に初めてccTGAと診断された症例の臨床像を明らかにすること。【方法】1. 愛媛県内の成人で初診断されたccTGA3例を以下の項目ごとにまとめた(性別、年齢、診断時年齢、心不全の有無、症状、既往歴、心合併病変の有無、心電図、CTR、心臓の位置、TRの有無、RVEF低下の有無)。2. PubMedで選択基準(19歳以上の症例、症状・診断時期・診断契機の記載があるもの)に合致する論文を検索し48例の文献レビューを行った。【結果】1. 症例1は59歳女性。高血圧、高脂血症で通院中、動悸がみられ心電図異常を契機に診断された。症例2は40歳男性、生来健康。職場検診で心雑音を指摘され、診断に至った。症例3は75歳女性。下腿浮腫がみられ、初診時は肥大型心筋症(HCM)、MRと診断されていたが、心不全症状悪化に伴い心臓造影CT検査を実施され、ccTGAと診断された。2. 48例の年齢は19-81歳(中央値57歳)、男性18例、女性30例、有症状41/48例、心合併病変14/48例、中等度以上のTR29/48例、RVEFの低下21/48例、完全房室ブロック9/48例であった。【考察・結語】心合併病変や不整脈がない場合は診断されずに成人期に至る場合があり、心不全症状を有する場合が多い。若年者は検診などで偶然見つかることが多かった。また、検査を受けてはいるが、正確に診断されていない場合もある。医師の誤診により診断が遅れた症例も見られた。成人のccTGAを早期に診断するためには若年者の検診を促すこと、鑑別としてccTGAを考慮に入れておくことも重要と思われた。