[III-P02-3-08] Fontan術後患者における超音波肝elastographyを用いた肝線維化の評価
キーワード:FALD, 超音波elastography, 肝線維化指標
【はじめに】Fontan(F)関連肝疾患(FALD)の評価に既知の肝線維化指標(LF)や超音波/MR elastographyなどが用いられているが、その有用性については一定の見解が得られていない。当院で経過観察中のF術後患者16名(男10名、F実施時年齢3(2-4)歳)に肝臓超音波検査/elastography(EL)を用いたFALD評価を行い、LF、血行動態指標との関連を検討した。数値の表記は中央値(四分位範囲)【対象と方法】EL実施時年齢20.5(15.25-24)歳、TCPC術後17(13.25-21)年。超音波検査で肝表面が「(やや)不整」かつ肝実質が「(やや)不均一」をFALDと定義した。EL指標として、real-time tissue EL (LFi)、point shear wave EL (Vs)、transient EL (E)を得、各指標相互の関連、および術後経過観察期間(F/U)、LF(IV型コラーゲン、ヒアルロン酸、プロコラーゲンIIIペプチド(PIIIP)、Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体、APRI、FIB-4 index(FIB4i)および中心静脈圧(CVP)との関連を検討した。さらにFALD群/非FALD群と各指標の関連について検討し、EL指標はROC曲線からFALD群抽出のカットオフ値を求めた。統計学的検討は、2群間の比較はt検定あるいはWilcoxonの順位和検定、各指標の関連は単回帰分析を用い、p<0.05を有意とした。【結果】FALD群は7例(44%)で、非FALD群に比べAPRIは低く、F/Uが長い傾向があった。統計学に有意ではないがFALD群ではLFiが高く、Vs、Eが低かった。FALD群抽出のカットオフ値はLFi 2.682m/s(AUC 0.65)、Vs 1.800m/s(AUC 0.73)、E 19.7kPa(AUC 0.62)だった。LFiはVs、Eと関連なく、VsとEは正相関があった。LFiはFIB4iと負相関の傾向、VsはPIIIP、APRI、CVPと正相関、F/Uと負相関が、EはPIIIP、CVPと正相関、F/Uと負相関があった。【考察とまとめ】EL指標のうちLFiはLFとの関連はなく、Vs、EはLFの一部と関連があったが、FALD群が低値でF/Uと負の関連を示した。ELはFALDの評価方法としては十分でない可能性が示唆された。