[III-P02-4-01] Vector Flow mappingを用いた右室内渦流に関する検討 -健常者および右心不全患者の観察-
キーワード:Vector Flow mapping, 右室, Energy performance Index
【背景】Vector Flow mapping(VFM)は心腔内血流の可視化のみならず、血流の持つ運動エネルギーやエネルギー損失,渦流の強さなど多くの新しい指標が提唱されている。左室内血流・渦流の解析は心不全の病態などで変化すると既に報告が散見されるが、右室に関する検討は少ない。【目的】正常および右心不全における右室内血流解析を行い、渦流の正常像および病的変化を示す。【方法】Vivid E95を用いて傍胸骨右室短軸像(流入路・心尖部・流出路を描出した像)を撮像した。EchoPAC (GE HealthCare)を用いてHDF5 fileに変換し、iTEcho(Cardio Flow Design)を用いて右室内渦流に関する検討を行った。正常10例、肺高血圧例3例、ファロー四徴症術後5例を対象とした。右室のVorticity, Energy Loss (EL)、Kinetic Energy (KE), Energy performance Index (EPI = KE/EL)を計測した。【結果】正常例では拡張早期に三尖弁前尖下に反時計方向回転、中隔尖下に時計方向回転の渦流形成が確認された。拡張後期から等容性収縮期には中隔尖側の渦流が拡大して心尖部から右室流出路にかけて時計方向回転の渦流が形成され、これが収縮期に肺動脈へ駆出されるような効率的な渦流の形成が観察された。肺高血圧症例においては拡張後期~等容性収縮期の渦流は形成されない症例や反時計方向回転の渦流が形成される症例が認められ、効率の良い駆出が認められなかった。ファロー四徴症術後においても肺動脈逆流による渦流形成の阻害が観察された。正常群におけるVorticityは41.0±11.2 cm2/s、ELは2.3±0.7 mW/mであり、KE 28.5±7.6 mW/m, EPI 12.3±6.7と右室負荷群と有意な差は認められなかった。【結語】右室内渦流形成が効率的な駆出には必要であることが示唆されたが、Energy lossなどの指標では右室負荷の程度を示すことは困難であった。右室渦流の視覚的な評価の方が病態を反映していると考えた。