[III-P02-4-03] Fontan循環に到達した三尖弁閉鎖症、肺動脈閉鎖、主要体肺側副血行の心臓造影CTを用いた末梢肺動脈血管容積の変化
キーワード:MAPCA, Fontan, UF
背景:主要体肺側副血行(MAPCA)を有する単心室症患者は肺動脈血管の成長が得られにくく、Fontan手術への到達は困難な場合が多い。今回我々はMAPCAを有する三尖弁閉鎖症、肺動脈閉鎖症の男児に対しMAPCAのUnifocalization (UF)を行いFontan手術まで到達した症例を経験した。心臓造影CT画像(CTA)を用いた肺動脈血管の容積変化を含め報告する。症例:1歳4ヶ月まで無治療。当院紹介後UF、 BT shunt(6mm), ASD enlargement施行。その後、UF部位およびBT shuntに対する複数回のカテーテル治療を挟み、2歳4か月時、平均肺動脈圧 12mmHg, Rp 0.51, PA index 236であった。2歳5ヶ月時にBCPS。2歳10ヶ月時、平均肺動脈圧 6mmHg, Rp 0.75, PA index 197。3歳1ヶ月時にTCPC実施。3歳4ヶ月時、平均肺動脈圧 10mmHg, Rp 0.44, PA index 192となった。 CTAでは、左右肺動脈の第一分岐部より末梢肺動脈容積(PAV)を抽出するよう中枢側をトリミング、UF前はそれぞれの大動脈起始部から末梢側を抽出しその総和とし、体表面積当たりのPAV(PAV/BSA)を算出した。術前のPAV/BSAは32.18であったが、BTshunt後では40.64に上昇した。BCPS後で34.08, TCPC前で31.1となった。考察:当院で過去検討した左右シャントや右心系疾患を持たない心疾患患者のPAV/BSAは35.0±8.1mlである。 本症例は、BCPSの循環動態でも2心室血行動態とほぼ同等の肺動脈容積を得ることができていた事、低い肺動脈圧が得られていたことが、Fontan循環成立の重要なポイントと考えられた。UF後のいびつな肺動脈形態において、CTを用いた肺動脈容積の検討は有用であった。