[III-P02-4-07] 中心静脈圧と肝硬変指標の小児における相関関係
キーワード:中心静脈圧, 心不全, 肝硬変
【背景】成人領域では慢性肝疾患に対する簡便な指標が複数存在するが,近年,肝線維化を反映するFibrosis-4 index(Fib-4index)が急性心不全による中心静脈圧の上昇も反映すると報告された.小児においては未だそのような報告はなく,中心静脈圧を確認するには中心静脈カテーテル留置や心臓カテーテル検査といった侵襲的手技が必要となる.【目的】慢性肝疾患に対する各指標と中心静脈圧との相関を調査し,その相関性を確認する.【方法】2022年1月から2023年12月までに当院で心臓カテーテル検査を行った小児患者全例,および2019年1月から2023年12月までに当院で心臓カテーテル検査を行ったTCPC患者を後方視的に抽出した.それぞれについて心臓カテーテル検査時の採血データおよび検査時の中心静脈圧を抽出し,Fib-4 index,AST to platelet ratio index(APRI)との相関性を比較解析した.【結果】対象は2022-2023年に心臓カテーテル検査を行った小児152例,および2019-2023年に心臓カテーテル検査を行ったTCPC患者54例であった.近似直線を作成すると,小児患者では中心静脈圧とFib-4 index(R2=0.30),APRI(R2=0.14),TCPC患者でも中心静脈圧とFib-4 index(R2=0.12),APRI(R2=0.17)と,いずれの間にも弱い相関が得られた.【結論】今回の検討では、各指標と中心静脈圧に弱い相関が認められた.ただし,Fib-4 indexでは指標の計算に年齢が関与するため,乳幼児例では年齢が負の因子として働くためにばらつきが大きくなり,相関が弱くなった.小児心疾患患者においても採血結果からある程度の中心静脈圧変化の推定が可能と考えられ,外来診療における診療の一助になると思われる.今後,年齢の影響が小さく,小児に特有の鋭敏な指標作成が望まれる.