[III-P02-5-06] 小児心臓奇形に合併した気道狭窄に対する気管支外ステントの成績
キーワード:気道狭窄, 気管支外ステント, リング付き人工血管
【背景】小児における気道狭窄症は,気管軟化症や異常血管などによる外部からの圧迫が原因で生じ、各病態に応じた外科的治療を行う必要がある。【目的】当院での心臓奇形に合併した気道狭窄に対する気管支外ステント術の効果を検証する。【方法】2000年から2023年の間で、リング付き人工血管による気管支外ステントを施行した27例(男児16例、女児11例)を検証。症例はVSD 1例、VSD/CoA 4例、Vascular ring 1例、TOF/APVS 3例、TOF/APVS+ vascular ring 1例、TGA 3例、TGA/CoA 1例、TGA/IAA 1例、Truncus 3例、Truncus/IAA 1例、IAA 1例、HLHS valiant 2例、u-AVSD 3例、u-AVSD/CoA 1例、TAPVC 1例。【結果】気管軟化症合併は14例(51.9%)。術前人工呼吸器管理は11例、術前ECMO管理は1例。手術時年齢は9.1(0.7-16.1)か月、手術時体重は4.6(2.0-7.8)kgであった。気管支外ステントは気管 4例、左気管支 19例、右気管支 3例、両側気管支 1例に留置した。気管支外ステントのみでは気管支狭窄解除が不十分で、気管支外ステント手術時に圧排血管の牽引を要したものは3例。観察期間は5.9(0-16.9)年。全ての症例で気管支鏡を用いて術後気管支評価を行い、うち20例はCT検査も行った。全ての症例で外ステントによる気管支狭窄改善の所見を認めた。人工呼吸離脱日数は6(0-56)日で、再挿管症例は5例であった。気管支外ステント再手術は2例で、2例とも圧排血管の牽引も施行。術後気管切開は3例(2例は気管軟化症、1例は気管支狭窄病変残存)、自宅退院後もCPAPを要したものが3例(すべて気管軟化症)。在院死亡 3例(心不全1例、肺高血圧/肺出血2例)、遠隔期死亡 2例(原因不明1例、自宅での気管チューブ自己抜去1例)であった。【結論】器質的気道狭窄に対する気管支外ステントは、全症例で有効な治療効果を得られた。また追加で圧排血管の牽引や拡張血管の縫縮などにより気管支狭窄部に十分なスペースを確保することも重要である。