[III-P03-1-06] 学校心臓検診1次検診心電図自動解析異常なしにおける目視抽出症例の検討
キーワード:学校心臓検診, WPW症候群, QT延長症候群
【背景および目的】学校心臓検診(心検)の目的は,心疾患の発見や早期診断を行い,学校心臓突然死を予防することである。しかし、心電図自動解析や省略4誘導心電図ではQT延長症候群など突然死を起こす疾患を見逃す可能性が指摘されている。鹿児島市の心検1次検診は12誘導心電図で実施しており、心電図自動解析異常ありは判読医2人が個別判読し、心電図自動解析異常なしは判読医1人が目視で判読し、集団討議で2次検診対象者を抽出している。自動解析異常なしと診断された当市における1次検診心電図自動解析異常なし症例における目視抽出例、全対象内の心検で診断された有疾患の割合(有病率)について検討した。【方法】2011年から2023年までの鹿児島市の心検受診者(小学校1年生、中学校1年生、高校1年生)197,471人を対象とした。自動解析異常あり群と自動解析異常なし群での1次検診抽出率、有病率を検証した。【結果】1次検診受診者は年平均15,458人で受診率は98.3%、1次検診抽出率は平均1.9%(自動解析異常あり群8.2%、自動解析異常なし群0.15%)であった。2次検診受診者における有所見率は平均26.7%(自動解析異常あり群26.6%、心電図解析異常なし群25.3%)であった。期間中の有病者数1,330人、総有病率は0.7%で、心電図自動解析異常なし群有病者数は60人、有病者抽出率は0.04%であった。自動解析異常なし群を疾患別に分けるとWPW症候群40%、QT延長症候群15%の順に割合が高く、偽陰性率はWPW症候群で17.2%、QT延長症候群で3.2%であった。【結語】心検心電図判読における自動解析は有用であるが、自動解析のみでは未だ不十分である。1次検診心電図自動解析異常なしを対象とした目視での判読、抽出心電図の集団討議は、突然死のリスクがあるWPW症候群やQT延長症候群などの抽出に有用と考えられる。