[III-P03-1-08] Association between the initiation of insurance coverage for fetal echocardiography and mortality from congenital heart disease in infants
Keywords:胎児診断, 分割時系列分析, 左心低形成症候群
【背景】2010年にレベル2の胎児心エコー検査が国内で保険収載され胎児心エコーは急速に普及したが、それにより重症先天性心疾の患乳児死亡数が減少したかは明らかになっていない。【目的】胎児心エコー検査の保険収載前後の先天性心疾患患者の乳児死亡数の変化を明らかにすること。【方法】政府の人口動態統計を用いて、生後12か月未満の死亡のうち死因が先天性心疾患である症例を抽出し、胎児心エコー検査の保険収載前後の死亡推移(前年比)の変化を、一般化線形モデルを用いた分割時系列分析により検討した。検討はICD-10分類に基づいた6つ先天性心疾患のグループ(Q20:心臓の房室及び結合部、Q21:心中隔、Q22:肺動脈弁/三尖弁、Q23:大動脈弁/僧帽弁、Q25:大動脈、Q26:大静脈)について行い、男女に層別化した検討も加えた。【結果】6つのグループのうち、大動脈弁及び僧帽弁の先天奇形(Q23)(代表疾患:左心低形成症候群HLHS)の保険収載前の年次死亡数前年比は-3.3%、保険収載後の年次死亡数前年比は-7.3%であった。Ratio of Trends(RT:保険収載後の前年比=0.93を保険収載前の前年比=0.97で除したもの)は0.96(95%CI 0.93, 0.99)と有意に減少していた。他の5つのグループではRTの有意な変化を認めなかった。国内の乳児死亡数ならびに各疾患群の手術後急性期死亡率で調整後も、このQ23における死亡数のみ有意に減少していた(調整後RT 0.93, 95%CI 0.90, 0.97)。男女別の解析では、Q23の男性のみ有意に死亡数の推移が減少していた(男児RT 0.92, 95%CI 0.87, 0.97; 女児RT 1.00, 95%CI 0.92, 1.09)。【結論】HLHSを代表とする疾患群(4腔像の異常があるため胎児期の診断率が高く、かつ体血流が動脈管依存のため出生後早期の治療介入が必須である疾患群)において、胎児心エコー検査の普及が死亡数の減少に寄与した可能性が示された。