[III-P03-2-02] New approach to pediatric hereditary pulmonary arterial hypertension, using genetic testing as the first step.
Keywords:遺伝性肺動脈性肺高血圧症, 遺伝子検査, BMPR2
【緒言】肺動脈性肺高血圧症のうち、家族性を示すものは遺伝性肺動脈性肺高血圧症(HPAH)と呼ばれる。症状は労作時呼吸困難、易疲労感など非特異的で、有意な症状や理学所見が出現した際には既に病状が進行していることもあり、特に早期の発見や治療介入が望まれる疾患である。無症状ながらも濃厚な家族歴を有する小児で、遺伝子検査を契機にHPAHの診断に至り、治療介入やフォローアップが開始された症例について報告する。
【症例1】9歳、女児、生来健康。母方家系にHPAHの家族歴あり(母:24歳で死亡、母方叔父:治療中)。成人科の主治医が母、叔父、本児に遺伝子検査を実施したところ、全員にBMPR2遺伝子変異を認め、当科初診した。初診時は無症状であったがII音の亢進を認め、心臓超音波検査による推定右室圧は40mmHgであった。心臓カテーテル検査で平均肺動脈圧40mmHgとPHを認め、肺血管拡張薬内服による治療を開始した。
【症例2】5歳、男児、生来健康。父方家系にHPAHの家族歴あり(父:治療中、父方叔父:10歳で死亡、父方祖父の弟:24歳で死亡、父の従兄弟:治療中、父の従兄弟の子:治療中)。成人科の主治医が父、姉、本児、弟に遺伝子検査を実施したところ、父、本児、弟にBMPR2遺伝子変異を認め、当科初診した。初診時は無症状でII音の亢進なく、心臓超音波検査でもPHを示唆する所見を認めなかった。将来いずれかのタイミングでPHを発症する可能性は高く、半年後に再検とした。
【結語】あらゆる疾患において、患者の症状や症候を手がかりに検査を組み、診断に至るのがスタンダードである。しかし遺伝子検査が飛躍的な進歩を遂げた現在、無症状・無症候状態の児に対する遺伝子検査を初手とするアプローチは、積極的に考慮すべき治療戦略である。倫理的問題や無症状児の治療の受け入れなど課題はあるが、特にHPAHでは超早期の診断確定は大きなメリットになる。
【症例1】9歳、女児、生来健康。母方家系にHPAHの家族歴あり(母:24歳で死亡、母方叔父:治療中)。成人科の主治医が母、叔父、本児に遺伝子検査を実施したところ、全員にBMPR2遺伝子変異を認め、当科初診した。初診時は無症状であったがII音の亢進を認め、心臓超音波検査による推定右室圧は40mmHgであった。心臓カテーテル検査で平均肺動脈圧40mmHgとPHを認め、肺血管拡張薬内服による治療を開始した。
【症例2】5歳、男児、生来健康。父方家系にHPAHの家族歴あり(父:治療中、父方叔父:10歳で死亡、父方祖父の弟:24歳で死亡、父の従兄弟:治療中、父の従兄弟の子:治療中)。成人科の主治医が父、姉、本児、弟に遺伝子検査を実施したところ、父、本児、弟にBMPR2遺伝子変異を認め、当科初診した。初診時は無症状でII音の亢進なく、心臓超音波検査でもPHを示唆する所見を認めなかった。将来いずれかのタイミングでPHを発症する可能性は高く、半年後に再検とした。
【結語】あらゆる疾患において、患者の症状や症候を手がかりに検査を組み、診断に至るのがスタンダードである。しかし遺伝子検査が飛躍的な進歩を遂げた現在、無症状・無症候状態の児に対する遺伝子検査を初手とするアプローチは、積極的に考慮すべき治療戦略である。倫理的問題や無症状児の治療の受け入れなど課題はあるが、特にHPAHでは超早期の診断確定は大きなメリットになる。