[III-P03-2-03] Geleophysic Dysplasia2(幸福顔貌骨異形成症)と診断された進行性僧帽弁狭窄(MS)に対して弁置換術(MVR)を施行し重度肺高血圧(PH)を合併した一例
キーワード:Geleophysic Dysplasia2, 進行性僧帽弁狭窄, 重度肺高血圧
【背景】Geleophysic Dysplasia2は骨や関節,心臓弁,皮膚を含むリソソーム貯蔵障害に似た進行性疾患である.MVR後のPHに対して肺血管拡張薬3剤を導入し良好な経過を経験したため報告する.【症例】在胎39週0日,2992gで正常出生.日齢10日に四肢短縮を指摘され,精査の上,外来フォロー.1歳1ヶ月時,心雑音を指摘,エコーにてMS=2.9m/s, TR=4.2m/s, 僧帽弁の腱索は短縮,肥厚しており,severe MS及びsecondary PHと判断しMVR(ATS16mm)の方針とした.術後経過良好であり,術後23日目に退院.MS=2.1m/sで経過し術後半年のカテーテル検査では,CVP=10mmHg, mPAP=20mmHg, PAWP=13mmHg, Rp=2.4u・m2と経過良好であった.2歳7ヶ月時,感冒をきっかけに肺鬱血が進行,利尿剤等の心不全加療でも改善せず,カテーテル検査を実施,CVP=14mmHg, mPAP=32mmHg, PAWP=14mmHg, Qs=2.3, Rp=7.9u・m2であり,MSによるsecondary PHではなく,high resistancePHと判断し=血管拡張薬導入とした.提出していたIRUDの結果でGeleophysic Dysplasia2と確定診断した.酸素投与継続の上,3ヶ月かけ,シルデナフィル,ボセンタン,セレキシパグを順に導入し,カテーテル検査を施行.CVP=13mmHg, mPAP=26mmHg, PAWP=16mmHg, Qs=3.3, Rp=3.8u・m2と改善を示し,退院となった.【考察】Geleophysic Dysplasia2の70%は,進行性弁肥厚を有し,肺高血圧の合併がある.約30%で弁置換術の対象となり,生後1年で症状を出現するケースが多い.予後は3.6歳と報告されているが,本症例は適切な時期に弁置換及び肺血管拡張薬を導入し良好な経過を辿っていると考える.