[III-P03-2-09] 肺高血圧に対する、タダラフィル坐剤の試み
キーワード:タダラフィル, 坐剤, 肺高血圧
【背景】乳児の心臓術後早期の肺高血圧に対するタダラフィル注腸投与の有効性と安全性について以前報告した。注腸による粘膜投与は肝臓の初回通過効果を受けず、効果発現が早く肺動脈圧は15~30分後から低下し始める。これまでは錠剤を粉砕し、生理食塩水に溶いて注腸投与していたが利便性と確実性のため、坐剤作製を試み、薬理作用について検討した。【対象】症例1: 生後3か月、4.8kg、心室中隔欠損術後(術前の心臓カテーテル検査でQp/Qs=1.6、PA圧73/34(平均圧52)、PVRI 9.63)症例2: 生後3か月、4.5kg、21トリソミー、心室中隔欠損術後(術前の心臓カテーテル検査でQp/Qs=2.0、PA圧86/54 (平均圧68)、PVRI 9.91)症例3: 日齢9、2.7kg、新生児仮死、呼吸障害、新生児遷延性肺高血圧症。【方法】1~1.5mg/kgのタダラフィルと基剤ホスコE-75、H-15により坐剤を作製した。症例1は術後当日から15日間投与。症例2は術後NO吸入療法からの離脱時に15日間投与。症例3はPPHN診断後12日間投与。症例1でTRPGを測定(前、後15分、30分、1時間、2時間、3時間、6時間)し効果判定した。症例1~3で体血圧(前、後15分、30分、1時間、2時間、3時間、以後3時間ごとに21時間後まで)を測定し安全性を確認した。【結果】TRPGは前29mmHgから、15分後には15mmHgに低下し始め、少なくとも6時間までは効果が維持された。体血圧は1~6時間後に若干低下傾向になる場合もあるが、中止に至る程ではなかった。【考察】坐剤でも効果発現時間や安全性に関して、粉砕薬の注腸投与と同等の反応を確認できた。作製には時間を要する為、あらかじめ準備時間が必要であるが、看護師でも確実に投与できる利点もあり今後も症例数を重ねていきたい。