[III-P03-3-01] 先天性心疾患術後三尖弁逆流に対する弁形成術を施行した4症例の検討
キーワード:三尖弁形成術, 成人先天性心疾患, 乳頭筋のapproximation
【背景】先天性心疾患術後の三尖弁逆流は, 弁輪拡大のみならず右室拡大や弁下組織の異常が原因となることがあり, 症例に応じた術式の選択が逆流制御のkeyとなる.今回, 術後遠隔期に生じた三尖弁逆流に対して形成術を行い, 逆流を制御しえた4症例を経験したため報告する. 【症例1】28歳, 女性. 純型肺動脈閉鎖症と診断され, BTシャント手術を経て4歳時に二心室修復術を受けた. 重度の肺動脈弁逆流と重度の三尖弁逆流を認め, 肺動脈弁置換術と三尖弁形成術(交連形成, 前/後乳頭筋のapproximation)を施行, 逆流はほぼ消失した.【症例2】34歳, 女性. ファロー四徴症の診断で, 4歳時に他院で心内修復術を施行された. 重度の肺動脈弁逆流と重度の三尖弁逆流に伴う呼吸苦を認め, 当科へ紹介された. 手術は肺動脈弁置換と三尖弁形成(弁輪リング縫着, 交連形成, 前/後/中隔尖乳頭筋のapproximation)を施行, 逆流は大幅に軽減した. 【症例3】3歳, 男児. 完全大血管転移の診断で心房中隔バルン裂開術を経て日齢8に他院で動脈スイッチ術を施行された. 術後より右心不全と軽度の三尖弁逆流, 中等度の僧帽弁逆流を認めたが, 重度三尖弁逆流への進行と右室拡大を認め, 当科へ紹介された. 手術は僧帽弁形成術と, 三尖弁形成術(前後乳頭筋のapproximation, 三尖弁輪縫縮)を行い, 逆流はほぼ消失した. 【症例4】25歳, 男性. 純型肺動脈閉鎖および心房中隔欠損症と診断され, 他院でBrock手術とBTシャント術を経て5歳時に二心室修復術を施行された. 重度の肺動脈逆流, 中等度の三尖弁逆流, 右室拡大を認め, 肺動脈弁置換術と三尖弁形成術(癒合した中隔尖乳頭筋の切開, 弁輪リング縫着, 中隔尖乳頭筋のsuspension)を施行し, 逆流はほぼ消失した. 【結論】先天性心疾患に関連する三尖弁逆流は, 弁輪拡大のみならず, 元々の弁下組織の低形成や右室拡大に伴う腱索のtetheringに起因する場合があり, 逆流の原因に沿った形成が必要である.