[III-P03-3-02] Evaluation of indications for and outcomes of surgery for congenitally obstructive coronary artery disease
Keywords:冠動脈起始異常, 外科治療, 遠隔成績
【目的】先天性心疾患ではときに冠動脈入口部または起始部に閉塞性病変を伴い,外科的治療介入を要する場合がある.当院では左冠動脈壁内走行部の解除が十分でなかったと思われる動脈スイッチ術後の1例を退院後に失った過去の経験から,以後は十分かつ確実な狭窄解除を行うよう積極的に介入する方針としている.しかし一方で,小児の細い冠動脈に切開や縫合などの手技を加えることは再狭窄の懸念もあるため,術後の成績を振り返りその妥当性を検討した.【方法】対象は2010年1月~2024年2月までの約14年間に手術介入した44例で,PA-IVSの類洞交通に伴うものは除外した.【結果】病変は,入口部狭窄 18例,AAOCA 12例,TGA (Shaher 5a) 8例,起始部欠損 4例,術後の二次性狭窄 4例で,部位は,左31例,右13例,単一2例,壁内走行 33例,大血管間走行 20例だった.合併心疾患は,なし 8例,TGA 8例,TrA 7例,PAVSD 4例,SVAS 4例,ほか13例で,手術時月齢 (中央値[IQR]),体重は,4 [0-150]ヵ月,5.5 [3.4-32.9] kgだった.術式は,unroofing 32例,パッチ拡大 12例,術後観察期間は4.6 [1.5-7.9] 年で,急性期死亡はなく,遠隔期に消化管穿孔(術後3ヵ月)と喀血(術後6年)で2例失った.術後冠動脈事象は1例のみで,PAVSDのICR時(BW 6.7 kg)に閉塞していたRCAをパッチ拡大したが,術後確認検査時に再閉塞を認めた(無症状).【考察と結語】近年画像診断技術の進歩とともに,先天性心疾患に伴う冠動脈閉塞性病変の診断も低年齢化,増加傾向にあると思われる.虚血症状が明らかでない場合もあり,どこまで介入するか,いつ介入すべきか悩ましい症例にも多く遭遇するようになった.本検討結果より,小児に対する冠動脈手技は安全に施行可能で,遠隔成績も良好であり,術前検査で冠動脈異常を見逃さないようにすること,積極的に介入することで,より良好な長期予後が期待できると考えられた.