[III-P03-3-08] Fallot四徴症術後、遠隔期に左冠動脈主幹部閉塞が判明し、自己肺動脈パッチによる冠動脈形成術を施行した一例
キーワード:冠動脈閉塞, 冠動脈形成, Fallot四徴症
【緒言】Fallot四徴症術後、遠隔期に失神症状を呈し、左冠動脈主幹部閉塞が判明した症例に対して、自己肺動脈壁を使用した冠動脈形成術を施行し良好な結果が得られたため報告する。【症例】21歳女性。出生後、Fallot四徴症、左肺動脈近位部欠損と診断され、生後7ヶ月で左BTシャント術が施行された。その後1歳10ヶ月で心内修復術(VSD閉鎖+MVOP)+左肺動脈形成術が施行され、以後外来フォロー中であった。13歳時に運動時の失神症状あり、心電図や心エコー、心臓カテーテル検査を施行するも明らかな失神の原因は不明であり外来フォローとしていた。その後失神のエピソードなく経過していたが、14歳時に造影CTを施行したところ、左冠動脈主幹部が閉塞し右冠動脈からの側副血行路が発達していることが判明した。心臓カテーテルを施行するとやはり左冠動脈は主幹部で途絶しており、PRはmild、主肺動脈-左肺動脈の圧較差は33mHgであった。総合的に判断し外科的介入も検討するも、本人・家族の希望なく運動制限の上で再度外来フォローを継続していたが、今回就職にあたり手術希望あり、左冠動脈主幹部閉塞、PR、左肺動脈狭窄に対して手術方針となった。術中所見では、左冠動脈主幹部は存在するも細く狭窄しており、大動脈より前下行枝-回旋枝分岐部まで切り開き、大動脈壁フラップを左冠動脈主幹部の後壁、採取しておいた自己肺動脈壁を前壁のパッチとして左冠動脈主幹部形成術を施行した。右室流出路-主肺動脈は3弁付きGore-Texグラフト22mmで再建、左肺動脈は後壁のridge切除のみ施行した。術後経過良好で、造影CTで左冠動脈主幹部の開存が確認され、以後失神症状なく経過している。【結語】今回、Fallot四徴症術後、左冠動脈主幹部の閉塞が判明し、自己肺動脈壁を使用した冠動脈形成術を施行し良好な結果が得られた。稀有な病態であり今後も慎重に経過観察していく必要がある。