[III-P03-4-01] Fetal pulmonary vein obstruction model in mice
Keywords:pulmonary obstruction, lung vascular development, mice
【背景】心房間交通閉鎖/制限のある左心低形成症候群(HLHS)は出生時重度のチアノーゼと呼吸障害をもって出生する。この群は肺静脈壁の動脈化、胎児期の肺の発達遅延が報告されている。その病態は重度肺静脈狭窄症例と類似している。【目的】胎児期における肺静脈狭窄が肺血管床の発達に影響を及ぼすことをマウス胎仔において検証する。【方法】子宮外発生法を用いて、E14.5マウス胎仔心嚢内に常温でゾル化・体温でゲル化する性質を持つインジェクタブルポリマー(IP)を注入し、物理的に左心房を圧迫することで、胎仔肺静脈狭窄モデルマウスの作成を試みた。母体マウス1体に対して、胎仔3体にインジェクタブルポリマーを注入(IP群)、別の胎仔3体には穿刺のみ行った(コントロール群)。残りの胎仔はsacrificeした。E16.5マウス胎仔を取り出し、組織学的評価を行った。【結果】コントロール群は全例生存、IP群に死亡例を認めた。生存したIP群において、組織学的に肺静脈狭窄所見を認め、コントロール群と比較し、肺血管床の発達遅延を認めた。【考察】マウス肺の発生過程において、マウス胎仔E13.5における4本の肺静脈と肺葉との交通が確認されている。マウス胎仔E14.5はヒト胎児における6-16週(腺様期)に相当し、マウス胎仔E16.5はヒト胎児における16-28週(管状期)に相当する。心房間交通閉鎖/制限のあるHLHSにおいて、胎児期23週以降に肺の発達遅延が報告がされているが、今回の実験系はそれより早い段階で肺静脈狭窄が肺の発達に影響を及ぼしている可能性を示唆し、上記疾患群の肺血管床の発達過程の解明に寄与する可能性を示唆した。ただし、実験系の再現性には課題が残り、より詳細な定量的評価が必要だと考える。