第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター発表(III-P03-4)
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2024年7月13日(土) 11:00 〜 12:00 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:北川 篤史(北里大学医学部小児科学)

[III-P03-4-02] 一過性の心筋壁肥厚をきたすも、改善した2例

三輪 将大1, 鶴見 文俊1, 渡辺 健1, 廣野 恵一2 (1.医学研究所北野病院 小児科, 2.富山大学 医学部 小児科)

キーワード:心筋壁肥厚, 心筋症, 遺伝子検査

【緒言】心筋壁肥厚をきたす原因には、心筋に病変がある一次性心筋症と、代謝疾患を含む全身疾患による二次性心筋症がある。今回、一過性に心筋壁肥厚をきたすも、改善を認めた症例を2例経験したので、報告する。【症例1】在胎37週6日で出生。新生児仮死なし。生後1時間でSpO2低下と心雑音を認めた。心臓超音波検査でIVSd=2.88mm(90%)、LVPWd=2.95mm(92%)、RVAWd=6.21mm(+2.61SD)と右室壁肥厚を認め、卵円孔の右左短絡、動脈管狭部0.77mmで、早期収縮も疑われた。Sp02低下は肺高血圧による卵円孔の右左短絡が原因と考えられ、保育器内酸素濃度40%として治療開始した。以降、肺高血圧所見及びSpO2低下は改善、酸素濃度漸減し、日齢7に終了とした。日齢11にはRVAWd=3.49mm(-0.11SD)と右室壁肥厚は改善し、日齢15に退院となった。心筋症に関連する遺伝子検査を提出したが、異常は指摘なかった。【症例2】在胎40週3日で出生。新生児仮死なし。出生時の心臓超音波検査では心筋壁肥厚は認めず、左上大静脈遺残及び右胸心を認めた。心機能は新生児としての正常範囲であった。経過良好で、日齢6に退院となった。生後5ヶ月の左上大静脈遺残、右胸心のフォロー目的の心臓超音波検査で、IVSd=5.18mm(136%)、LVPWd=5.31mm(137%)と壁肥厚を認めた。二次性心筋症スクリーニングや関連する遺伝子検査を含めた精査を行うも、異常は認めなかった。無治療で経過観察を行った所、生後1年2ヶ月の心臓超音波検査でIVSd、LVPWdとも正常範囲に改善を認めた。5歳となった現在も、心筋壁肥厚は認めず、収縮能や拡張能も正常範囲で経過している。【結論】心筋症の鑑別疾患は、新生児期は、代謝・内分泌疾患、神経筋疾患、先天奇形症候群などに加え、胎児環境や出生時の影響もあり、多岐にわたる。所見消失後も、一次性心筋症を含めた疾患基盤を背景に何らかの負荷に対して一過性の病態を呈した可能性もあり、長期のフォローが望ましいと考える。