[III-P03-4-03] 右室心筋炎は稀ではあるが予後不良である
キーワード:右心不全, ECMO, 慢性活動性心筋炎
【背景】心筋炎はウイルス感染などを契機に心筋傷害から心不全をきたす炎症性疾患で,多くは左室機能に注目されるが右室心筋炎の報告も散見され,予後不良とされる.【症例1】2歳男児.TTTS,NEC後短腸症候群,脳性麻痺.入院約3週間前より発熱,上気道炎症状.著明に浮腫増強し当院へ救急搬送.心エコー,心電図で右室心筋炎と臨床診断. HFNC呼吸管理,NO吸入を行うも肺循環維持不能.基礎疾患からECMOや右心バイパス術の適応なしと判断.翌日死亡.【症例2】10か月男児.7か月から難治性下痢に対し経静脈栄養.浮腫,肝腫大,心嚢液貯留あり前医入院,右心不全の診断で発症15日目に当院転院.人工呼吸管理やNO吸入,カテコラミン投与するも些細な刺激でCVP上昇,血圧低下.発症19日目に心内膜心筋生検(EMB)施行,急性リンパ球性心筋炎と診断.ステロイドパルス療法(SPT)で急速に右室機能改善.しかしステロイド終了後に再度右室機能悪化,EMBで慢性活動性心筋炎と診断,プレドニン(PSL)再投与.ステロイド治療への反応は良好,右室機能および病理所見の改善が得られたが,PSL終了後に再燃.PSLに加えアザチオプリン(AZA)投与し寛解を得たが,PSL+AZA終了後にまた再燃,初発から1年5か月で突然死.基礎疾患として早老症が疑われた.【症例3】生後3週女児.嘔吐で発症し前医入院.右室収縮不良で心房間右-左シャントによる高度チアノーゼを呈した.central ECMO管理下でEMB施行し急性リンパ球性心筋炎と診断,SPT後も右室機能回復なし.頭蓋内出血,腎梗塞を合併し右房脱血-主肺動脈送血のRVADへconversionしたが回復せず合併症多発,転院後17日に死亡.【まとめ】心筋炎自験例68例のうち右室心筋炎は3例(4.4%)で,いずれも死亡した.心筋炎は多彩な臨床像を呈し,稀ながら重篤な右心不全を来たしうることを念頭に置く必要がある.