[III-P03-4-05] 術前に呼吸窮迫症状を強く呈し、術後も呼吸窮迫症状が残存した心室中隔欠損症乳児例の検討
キーワード:心室中隔欠損症, 手術, 気管軟化症
【背景】乳児に症候性となる心室中隔欠損症(VSD)では手術前に陥没呼吸や多呼吸を認め、術後はその症状が消失することがほとんどだが、中には症状が残存する症例もある。気道症状残存例の病変について気管支鏡検査(BF)を用いて評価、考察された報告は少ない。【方法】2018年1月から2024年1月の6年間で心室中隔欠損症(VSD)と診断した背景疾患のない児で、乳児期に閉鎖術あるいは肺動脈絞扼術を施行した29例を後方視的に検討した。【結果】術前に陥没呼吸を伴う症例は25例で、術後陥没呼吸が残存した症例は4例だった。陥没呼吸の残存例と改善例では手術時の日齢、体格、心臓超音波検査におけるVSDの大きさや流速、左右の肺動脈径などに有意な差は認めなかった。術前のBF施行例は2例で、ともに気管支軟化症を認めた。術後BFを施行した症例は3例で、すべて術後の陥没呼吸残存例であった。術後BF施行例のうち1例は術前にもBFを施行しており、術前と比較し気管支軟化症の改善を認めたことから、VSDによる二次性の気管支軟化症と考え経過観察とした。1例は気管支軟化症の所見が残存していた。軟化症所見が残存した症例は肺動脈絞扼術後であったが、術後3か月での心臓カテーテル検査ではQp/Qs=0.95と肺血流の制御はできていた。先天性気管支軟化症の可能性も念頭に在宅経鼻的持続陽圧呼吸療法を導入し自宅退院とした。1例は気管・気管支軟化症所見を認めなかったことから、陥没呼吸への介入を行わず経過観察としている。【結論】VSD術後の陥没呼吸残存症例において、その誘因の考察と介入の必要性についてBFは有用な可能性がある。