第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター発表(III-P03-4)
その他2

2024年7月13日(土) 11:00 〜 12:00 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:北川 篤史(北里大学医学部小児科学)

[III-P03-4-08] 肺動静脈瘻の治療管理が問題となった遺伝性出血性毛細血管拡張症の3小児例:早期診断・長期フォローの重要性とそのTips

牧野 宏俊, 大橋 啓之, 三谷 義英, 澤田 博文, 武岡 真美, 大矢 和伸, 淀谷 典子, 平山 雅浩 (三重大学医学部附属病院 小児科)

キーワード:遺伝性出血性毛細血管拡張症/Osler病, 肺動静脈瘻, 遺伝子異常

【諸言】遺伝性出血性毛細血管拡張症(hereditary hemorrhagic teleangioctasia:HHT)は反復する鼻出血、皮膚粘膜の末梢血管拡張、内臓病変(胃腸毛細血管拡張、肺・脳・肝・脊髄動静脈奇形)、常染色体優性遺伝を4徴とする全身性血管疾患であり、出血などの重症血管合併症が予後不良因子とされる。早期の治療と経過観察が重要とされるが、早期診断が困難な場合も多い。【症例】症例1は2歳女児、感冒治癒後に遷延したSpO2の低下を認めた。胸部レントゲンにて異常陰影を指摘、胸部造影CTにて肺動静脈瘻(PAVF)あり。HHT(PAVF)の家族歴を認めたため本疾患を疑い、診断基準2項目該当、ENG遺伝子の変異を認め確定診断。PAVFに対しカテーテル塞栓術を実施。症例2は15歳男児、易疲労感を主訴に受診。SpO2の低下、繰り返す鼻出血、鉄欠乏性貧血、HHT(PAVF)の家族歴を認め、診断基準4項目該当し診断。2歳時に椎骨動静脈瘻に対し塞栓術実施、今回PAVFに対しカテーテル塞栓術を実施。症例3は11歳男児、有痛性の皮疹と便潜血陽性を認めた。鼻出血および鉄欠乏性貧血、家族歴(PAVF)があり診断基準3項目該当、本症と診断した。大腸ポリープを認め内視鏡的切除を実施、現在PAVFは認めない。【結語】各症例の早期診断に、感染や呼吸障害を伴わないSpO2の低下、鉄欠乏性貧血を伴う鼻出血、家族歴が重要であった。PAVFによる低酸素血症などの症状、PAVFに対するカテーテル治療前後の経過観察の機会など、本症は小児循環器医にとって留意すべき疾患と考えた。