[III-PSY4-2] 胎児Ebstein病の重症度評価と治療
キーワード:Ebstein’s anomaly, circular shunt, indomethacin
【背景】胎児Ebstein’s anomaly (EA)はエコーによる重症度評価がカウンセリング・周産期管理に重要である。最重症例であるcircular shunt合併EA (EA/CS)は体血流が動脈管からstealされる進行性で致死的な病態である。従来の管理は経過観察や早期娩出と生直後の手術であり予後不良である。【目的】胎児EA/CSに非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を経胎盤投与し、動脈管(DA)収縮によるエコー所見の変化、周産期予後改善と副作用を検討した。【対象・方法】トロント小児病院でNSAIDsを経胎盤投与された胎児EA/CS 4症例を後方視的に調査【結果】治療開始週数25-34週、治療期間11-49日間、使用薬剤インドメタシン(IND) 4例100-300mg/日・イブプロフェン1例(IND治療中に一時的に使用)1600mg/日。治療前エコー所見は三尖弁閉鎖不全severe4例、肺動脈弁閉鎖不全(PR)moderate1例/severe3例、臍帯動脈拡張期血流(UADF)消失2例/逆行1例/順行1例、胎児水腫3例。治療反応群は3例で全例DA収縮を認め、PRは全例mild-moderateへ、 UADFの異常があった2例は順行性へ改善し、胎児水腫を合併した2例は消失した。治療不応群1例はDA収縮が得られず上記エコー所見の改善はなかった。治療反応群は3-7週間妊娠期間が延長し全例出生後に手術され生存した。内2例はIND最大量の長期投与例で羊水過少を認め術後透析を要したがその後腎機能は改善した。治療不応群は血行動態が悪化し早期娩出され術後死亡した。【考察】胎児EA/CSに対するNSAIDs治療はエコー評価をもとに施行され、血行動態改善による妊娠継続と周産期予後改善が期待される。腎機能障害は一過性であったが、未だ症例数が少なく安全性や予後ついてさらに検討が必要である。