[III-PSY4-4] 重症Ebstein病・三尖弁異形成の周術期管理
キーワード:Ebstein, Critical Care, Starnes
重症Ebstein病・三尖弁異形成は、他の先天性弁膜疾患と同様に、出生前から心負荷増加による心機能低下が問題となりえる疾患群である。最重症例では、右室機能低下・三尖弁閉鎖不全に加え、左室機能低下・Circular Shuntによる心負荷がさらに増悪することで子宮内胎内死亡となる場合があり、出生後の体肺血流バランスの問題だけでなく、出生前から心ポンプ機能低下を主体とした循環不全が課題となりえる。出生後は新生児早期になんらかの手術を必要とし、術前・術後の周術期管理が必要となり、呼吸循環管理を中心とした集中治療を行うことが多い。Url化により右室機能が廃絶している場合では出生後からプロスタグランジン投与下で左室単心室循環管理が、右室機能残存により右室順行性血流が保てる場合では肺血管拡張を行い二心室循環管理が基本となる。単心室循環では巨大化した右房化右室・右房による対流・うっ血により、経時的にさらに循環不全が増悪することがあり、全身状態が増悪する前に遅れずに手術介入時期をみすえることが重要である。また肺動脈弁逆流を伴う症例では、早期に肺動脈閉鎖を含めた手術介入が行われる場合もある。 単心室循環に対しては一般的にはmodified Starnes手術が行われる。右房縫縮・三尖弁パッチにより右心系のうっ血が手術により制御されている場合には、通常の単心室循環管理が基本となる。WPW症候群・心房粗動など頻拍が顕在化した際には、Pacing Leadによる対応が有用である。術後に肺低形成が問題となる場合は少ない。二心室循環が成り立っている場合には早期の手術介入は稀である。 重症Ebstein病の周術期管理は、胎児期からの連続した病態管理と適切な時期の手術介入が重要である。常に循環不全の許容範囲を評価し、術前・術後の全身管理を行うのが重要である。