第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

多領域パネルディスカッション

多領域パネルディスカッション2(III-TRP2)
循環不全に対するECMOの実際

2024年7月13日(土) 09:10 〜 10:40 第4会場 (4F 411+412)

座長:落合 由恵(JCHO九州病院 小児心臓血管外科)
座長:高 寛(岡山大学病院 臨床工学センター)

[III-TRP2-2] ECMO装着中の患者の看護

荒井 裕也 (静岡県立こども病院)

キーワード:ECMO, ECMO看護, 先天性心疾患

静岡県立こども病院では、心臓外科手術を年間250~300例程度行っている。ECMO装着患者は年間6~10例ほどである。術後管理を行うPICUは12床で稼働をしている。 ECMOは特殊な治療であり、患者は重症であるため看護師に求められることは多岐にわたる。常に患者の循環動態を観察する必要がある。また、ECMOの稼働状態を評価し、安定して稼働している状態であるか、アセスメントを行っている。循環動態やECMOの稼働状況は、治療段階によって異なるため、導入期、維持期、離脱期の3つの段階に分けて管理している。そのため、看護師は治療段階に合った観察、ケアを行っている。 ECMO装着中は、臓器出血、血栓塞栓症を起こすリスクがあるため、全身の観察を注意深く行う必要がある。特に脳出血はECMO治療を継続できなくなるため、神経学所見の観察を行い、異常の早期発見に努めている。また患者は極度の循環不全状態であるため、浮腫が強く、皮膚の脆弱性も高い。ECMO装着中は積極的に体位変換を行うことができず、褥瘡やMDRPUを形成するリスクが高い。その対策として、クッション材を使用することを基本とし、2時間に1回は除圧を行っている。 看護師は、患者と家族に一番近い存在として、状況に応じた関わりが求められる。ECMO治療を必要とする患者の家族にとって、我が子が生命危機状態であるため、不安はとても強い。また「何もしてあげることができない」といった無力感を感じる家族も多い。このような家族の思いを傾聴し、医療スタッフ全員が家族の思いを共有し、家族に寄り添っていくことが重要である。