13:30 〜 13:45
[スポーツ文化-A-05] 「スポーツと幸福」に関する文献研究(その1)
研究の背景と意義
新しい学術体系(日本学術会議、2003)において、「設計科学」と性格づけられる体育学/スポーツ・健康科学の研究者集団であるこの学会は、「社会のための学術」としてのミッションを強く自覚して2021年度より定款上の「目的」改正を行った。設計科学とは、認識科学(あるものの探求/対象の認識による法則性の発見)とは異なり、「ある目的」をもった人工物(モノあるいはシステム)の創造・制作・改変・利用に関連する、あるべきものを探求する学術ジャンルである。従って、設計科学は何らかの実践上の価値の導入なしには存立できない。では一体、専門分科した諸学間で合意可能な設計目的となる社会的使命とは、いかに構想したらよいのであろうか。
他方、わが国のスポーツ政策(スポーツ推進システムの整備が使命)の基盤となるスポーツ基本法の制定から10年が過ぎた。この法律の前文には、スポーツを権利の「対象」とする「スポーツのためのスポーツ権」ではなく、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」とスポーツ「による」幸福追求権が法理念として謳われた。が、果たして、スポーツを「したり、見たり、支えたり」する活動が豊かに展開されたならば、個人と社会全体の幸福にとって本当に有用なのであろうか。残念ながら、わが国における「スポーツと幸福(不幸)」研究の蓄積はとても乏しい(但し、高齢者・患者×身体活動(量)×(健康関連)QOLという治療・介護・福祉的観点からの研究の蓄積は豊富)。そこで本共同研究では、「スポーツと幸福(不幸)」に関する国際的な研究動向を包括的にレビューすることで、「スポーツと幸福(不幸)」研究の到達点と課題を明らかにするととした。
他方、わが国のスポーツ政策(スポーツ推進システムの整備が使命)の基盤となるスポーツ基本法の制定から10年が過ぎた。この法律の前文には、スポーツを権利の「対象」とする「スポーツのためのスポーツ権」ではなく、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」とスポーツ「による」幸福追求権が法理念として謳われた。が、果たして、スポーツを「したり、見たり、支えたり」する活動が豊かに展開されたならば、個人と社会全体の幸福にとって本当に有用なのであろうか。残念ながら、わが国における「スポーツと幸福(不幸)」研究の蓄積はとても乏しい(但し、高齢者・患者×身体活動(量)×(健康関連)QOLという治療・介護・福祉的観点からの研究の蓄積は豊富)。そこで本共同研究では、「スポーツと幸福(不幸)」に関する国際的な研究動向を包括的にレビューすることで、「スポーツと幸福(不幸)」研究の到達点と課題を明らかにするととした。