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[学校保健体育-A-03] 大学体育授業における集団凝集性の変化から見える学習者の適応感
本研究は、大学体育授業における学習者の集団凝集性の得点変化と適応感との関係を検討することを目的とした。関西地区にある4年制大学において必修開講されている体育授業を履修した大学1年生63名を対象に、質問紙調査を実施した。調査内容は体育授業における集団凝集性尺度(阿江、1986)、学校適応感尺度(大久保、2005)、体育適応感尺度(佐々木、2003)を使用した。対象場面は全15回で構成される授業の内、第11回目(初回)から第15回目(最終回)の屋外グラウンドで90分間実施されたソフトボール授業であった。次に、体育授業での集団凝集性を捉えるために、野球またはソフトボール経験者1名をキャプテンとし、力量差が均一になるように9チームを編成した。研究対象者の集団凝集性の下位尺度得点の合計を集団凝集性得点とし、最終回の集団凝集性得点から初回の集団凝集性得点を引いたものを、集団凝集性得点の変化量とした。そして、初回調査時よりも集団凝集性得点が向上した者を「集団凝集性向上群」、低下した者を「集団凝集性低下群」とした。なお、得点変化が認められなかった4名は分析対象から除外し、最終的に分析に用いられた対象者は59名(男性40名、女性19名;平均年齢18.7±0.5歳)であった。最後に、尺度得点ごとに二元配置分散分析を行い、交互作用が認められた場合は単純主効果の検定を行った。本研究で得られた結果は以下の通りである。(1)集団凝集性向上群と低下群で調査初回時には差が認められなかったが、調査最終回時には向上群よりも低下群の方が有意に低いことが認められた。(2)集団凝集性向上群は調査初回時と最終回時に差は認められなかったが、低下群には調査初回時と最終回時に有意な低下が認められた。以上のことから、体育授業を行うことによって集団凝集性が低下した場合は、大学適応感も低下させる可能性があることが示唆された。