日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題A】大学体育の授業をいかに良質なものにするか

学校保健体育研究部会【課題A】口頭発表①

2021年9月7日(火) 13:30 〜 14:59 会場11 (Zoom)

座長:大林 太朗(筑波大学)

14:39 〜 14:59

[学校保健体育-A-05] コロナ禍における対面体育実技の実施が身体不活動時間とライフスキルに与える影響

大学1年生を対象とした調査から

*寺岡 英晋1、村山 光義1、佐々木 玲子1、稲見 崇孝1、東原 綾子1、野口 和行1、加藤 幸司1、永田 直也1、福士 徳文1 (1. 慶應義塾大学 体育研究所)

【諸言】コロナ禍の外出自粛や遠隔授業の実施による身体活動制限下において大学生の心身の健康に関わる諸問題が懸念されている。そうした中、大学の体育実技について、2020年度春学期は対面形式での実施を見送った大学が多かったが、秋学期には一部の大学で対面形式による実施が再開された。本研究では、春学期の休講措置の後、秋学期に対面形式で実施された体育実技が大学1年生の身体不活動時間とライフスキルに与える影響・効果について検討することを目的として調査を実施した。【方法】対象は首都圏の私立大学に在籍している1年生277名とした(男性136名、女性141名)。体育実技履修者は201名、非履修者は76名であった。調査はWebアンケートにより2020年度秋学期授業期間(10月-12月)の前後で計2回実施した。調査内容は(1)身体不活動時間(2)ライフスキル尺度(目標設定・考える力・謙虚な心・感謝する心)について質問項目を設定した。【結果】2要因の分散分析(時間要因×履修要因 )の結果、身体不活動時間について履修者と非履修者ともに授業期間前後で減少傾向にあり、有意な交互作用は認められなかった。ライフスキル尺度の「目標設定」と「感謝する心」においては交互作用効果が認められた。さらに、運動部に所属していない学生に限定した比較では、身体不活動時間については有意な交互作用が認められなかったが、ライフスキル尺度の4因子すべてにおいて交互作用効果が認められた。【まとめ】本研究の結果は、対面形式で再開した体育実技履修が秋学期中の身体活動量の増加を有意に促進したものではないが、体育実技が大学1年生のライフスキルの獲得に貢献することを示した。特に、運動部に所属していない大学1年生にとって体育実技履修の効果が顕著に見られたことは、対面による体育実技実施の教育的意義を高めると考えられる。