日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題A】大学体育の授業をいかに良質なものにするか

学校保健体育研究部会【課題A】口頭発表②

2021年9月7日(火) 13:30 〜 14:59 会場12 (Zoom)

座長:今宿 裕(作新学院大学)

14:39 〜 14:59

[学校保健体育-A-10] 新型コロナ禍における大学体育実技の学修成果

運動行動変容段階によるオンデマンド型遠隔授業の主観的恩恵の検討

*西田 順一1 (1. 近畿大学)

新型コロナ禍の大学体育授業において、プレコロナ期の対面授業と比して受講学生は65%程度の学修成果に留まること、また、学修成果は同時双方向型の遠隔授業にて高いこと等が報告されている(西田他、2021)。COVID-19の影響によって人々の生活や社会に大きな変化が生まれる中、大学教育でもDXが導入され、今後、体育実技科目にてDXの採用や、その流れが加速する可能性も考えられる。ほとんどすべての大学体育授業者にとって、コロナを契機に遠隔授業を実施せざるを得ない状況となったことから体育実技の学修成果、とりわけ、遠隔授業(オンデマンド型)の学修成果に関する知見は揃っていない。本研究では、オンデマンド型・体育実技の学修成果と運動行動変容段階による学修成果の差異を明らかにすることを目的とした。‘コロナ禍における体育授業の学修成果の可視化’研究プロジェクトにて、収集されたデータより体育実技の実施を含んだオンデマンド型授業の受講者を分析対象者とした。調査内容は、基本的属性、主観的恩恵(PBS-FYPE)、運動行動変容段階等であった。データ分析を行った結果、対象者の主観的恩恵はPBS-FYPEの基準値と比して有意に低値を示し、遠隔授業全般の学修成果と同等であった。また、PBS-FYPE下位尺度について「協同プレー」は、基準値からの最も隔たりのあった学修成果(43%)であった。一方、「規則的な生活習慣」は97%の得点を示し、対面授業と遜色ない学修成果であった。次いで、運動行動変容段階による主観的恩恵を分析した結果、PBS-FYPE全体得点および全下位尺度得点に差異が認められた。下位検定の結果、「維持期」の者は高値を示した一方、「無関心期」者は主観的恩恵が低値であり、学修成果は著しく低いことが明らかになった。また、無関心期者はオンデマンド型体育実技授業の「受講弱者」として捉えられることが示唆された。