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[競技スポーツ-A-01] コロナ禍における東京オリンピックの開催可否に対する代表候補選手の意識調査
レスリング競技を事例にして
現在、新型コロナウイルス感染症の蔓延は全世界に甚大な社会的及び経済的影響を及ぼしている。コロナ禍における生活の変化が起き、新しい生活様式、いわゆる「ニューノーマル」と言われる収束というより新しい常態に備えると言う考えが必要になっている。様々な分野に影響を及ぼしているがスポーツ界も例外では無い。2020年に開催される予定であった東京オリンピック・パラリンピックが2021年に延期となったが、中止や再延期といった声も小さくない。IOCや開催国である日本はどんな形であれ、開催に向けて試行錯誤し、前向きな情報発信を続けているが、中止論に傾いている世論だけでなく、主要国の不参加や無観客試合なども取り沙汰され、その先行きは不透明である。一方で、世論と政治、ビジネスと政治駆け引きなどの狭間にいる五輪候補選手のトップアスリート達はメディアからの情報に翻弄されつつ、「期待」と「絶望」という感情の中で揺れ続けている。健全なトレーニングの弊害になるような精神的ダメージを負っている選手も少なくない。2020年6月にIOCが135ヵ国のアスリート3289人を対象に行った調査では56%のアスリートが効果的なトレーニングの実施が困難、50%のアスリートがモチベーションの維持に苦慮、32%のアスリートがメンタルヘルスとスポーツキャリアのマネジメントに懸念を示しているといった報告がされている。本研究では東京オリンピック、レスリング日本代表候補選手「男子12名、女子5名(選手の私情により3回目から4名)」を対象に、延期や開催の可否報道に翻弄される選手たちの競技に向けたモチベーション等を中心とした意識の変動について、2020年3月から2021年3月まで、2ヶ月に1度の頻度で計7回にわたる詳細なインタビュー調査を行い、五輪開催の現状が与えるトップアスリート達の意識への影響についての分析を行った。