The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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競技スポーツ研究部会 » 【課題A】トップアスリート養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題A】口頭発表①

Tue. Sep 7, 2021 1:30 PM - 2:40 PM Room 13 (Zoom)

Chair: Wakaki Uchida (Kyushu University)

1:50 PM - 2:10 PM

[競技スポーツ-A-02] ライフスキルが引退後のキャリア選択行動に与える影響

女性トップアスリートを対象として

*TOKAIRIN YUKO1, SHIMAMOTO Kohei 2, SUZUKI Makiko3, NISHIKIMI Aya4 (1. Keio University Graduate School, 2. Hosei University , 3. JAPAN TOP LEAGUE, 4. Keio University )

本研究の目的は日本の女性トップアスリートのライフスキル獲得レベルの実態を調査し、それまでのコーチングとの関連とそれが引退後のキャリア準備に与える影響について明らかにする。

日々のスポーツやその周辺活動で獲得されるライフスキルは、意図的なコーチングによっても高まると考えられる。さらに現役を引退した後もデュアルキャリアとして構築されることが重要であり、それは人格形成や自己実現の促進などに影響を及ぼす(JSC、2014)。こうしたことから指導者の影響は競技スキルだけではなく、競技を終えたあとのキャリアに向けた準備にも影響を及ぼすのではないかと考えられる。

調査期間は2021年3月、日本トップリーグ連携機構に加盟する7つのリーグの女性アスリート(サッカー、ソフトボール、バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、フットサル、ホッケー)829名を対象とした。調査は島本ら(2013)のライフスキル評価尺度と引退後のキャリアに向けた準備に関する質問をGoogleフォームによって調査した。結果として、高校時代に「選手の意見を聞いてくれる」、「適切なフィードバックがある」などの意図的なコーチングを受けた選手はそうでない選手と比較すると『考える力』のレベルが有意に高かった(F(16,812)= 4.46,p < .001)。次に大規模ファイルのクラスター分析を行ったところ、①全ての獲得レベルが高い「全体高群」、②社会規範が高い「社会規範群」、③社会規範と問題解決スキルが低い「問題解決低群」、④全ての獲得レベルが低い「全体低群」であった。「全体高群」は他の群と比較して、キャリア準備のための「SNSの発信」や「チーム活動とは別に自らの課題に基づいた社会貢献活動」を目指していることが確認でき、選手のキャリア準備のためには、指導者の将来に向けた意図的なコーチングが重要であることが示唆された。