The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Oral (Theme)

競技スポーツ研究部会 » 【課題A】トップアスリート養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題A】口頭発表③

Tue. Sep 7, 2021 1:30 PM - 2:40 PM Room 15 (Zoom)

Chair: Riki Sukou (Japan Women's College of Physical Education)

1:50 PM - 2:10 PM

[競技スポーツ-A-10] 「感覚」を「言語化」することによる投球パフォーマンスの安定

プロ野球投手へのメンタルサポートの可視化

*Norishige TOYODA1, Takatoshi KURODA1 (1. Biwako Seikei Sport College)

本発表では、プロ野球投手が『自身の「感覚」を「言語化」する』ことを通じて、投球パフォーマンスを安定化していった事例を紹介する。プロ野球選手としての日々の取り組みは、言わずもがな、自身のパフォーマンスを高次元に維持し、本番で発揮することを目指している。ただし、全ての選手が本番で実力発揮できる訳ではない。本事例もまた、前シーズンにおいてトップチーム(1軍)で活躍していた投手が、新しいシーズンを迎えるに際してファーム(2軍)での調整を余儀なくされ、トップチーム復帰を目指してメンタル面の強化を希望することからスポーツメンタルトレーニング(以下、SMT)に取り組んでいる。特に、日々の地道な取り組みから、シーズン半ばにトップチームに復帰し、登板するまでの間に、SMTの一環として『自身の「感覚」を「言語化」する』ことを継続した。本発表では、その「言語化」について質的にアプローチした結果、プロ野球投手の心理変容を可視化し、発展継承可能な議論を展開したい。特に、①「良い球が投げられるが打たれてしまう」といった混迷期から、②SMTを導入し(SMT導入期)、③試行錯誤を繰り返す中(試行錯誤期)、④「取り組むべき課題を選定できる」ようになり(課題発見期)、⑤「明確な課題に取り組む」を経て(錬成期)、⑥「パフォーマンスが向上し、安定」(向上・安定期)していくプロセスについて「言語化」された質的データから追跡した。このように、SMTにおける選手の取り組みを可視化し、その成果を検討することは、これまでの実践報告にも見られることでもある。そのような中、本発表では質的研究法を導入し、成果の可視化を試みた。ちなみに、質的研究法は、SMTの成果の検証に寄与するが、決して「お手軽な研究法」ではない。特に、選手の取り組みを深く理解していく上で、どのような理論的センシティビティを求めていくべきかについても検討したい。