The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Oral (Theme)

競技スポーツ研究部会 » 【課題A】トップアスリート養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題A】口頭発表③

Tue. Sep 7, 2021 1:30 PM - 2:40 PM Room 15 (Zoom)

Chair: Riki Sukou (Japan Women's College of Physical Education)

2:25 PM - 2:40 PM

[競技スポーツ-A-12] 大学サッカー部における競技力向上に向けたクラブ規範の取り組み

*Takeshi Tokairin1, Yuko Tokairin2 (1. Josai University Faculty of Management, 2. Keio University Graduate School)

ゴール型のボールゲームであるサッカーは、試合中の選手間の相互作用機会が多いといわれる。競技スキルを高めるためにはコミュニケーションスキルなどの社会的スキルを高めることが必要である。社会的スキルはサッカーのトレーニングから得られることだけでは不十分であり、それ以外のオフザピッチの空間(東海林、2020)での部員間の関わりが重要であると仮説を立てた。対象はR大学サッカー部員70名、研究期間は2016年から2019年までの4年間である。オフザピッチにおける取組みは、新入生研修プログラムなど3つのプログラムを核として実施された。それぞれのプログラムでは部員間で決定した役割があると同時に、指導者の関わりは、「直接的介入のコーチング」から徐々に「選手間の協力関係を醸成するコーチング」(東海林、2016)へと権限の介入を減少させていった。チーム全体の目標として競技力を向上させるだけではなく、プログラムを成功に導くための暗黙のルールが徐々に醸成されていった。結果として、2016年度は都県リーグのカテゴリーから、2017年度には関東大学リーグ2部、2019年度には関東リーグ1部での所属となり、より高いレベルにおいて競技ができる環境となった。また、社会的スキルを測る尺度としては類似した概念である島本ら(2013)のライフスキル評価尺度を用いた。試合頻度別グループ(トップチームレギュラー・サブ・セカンドチーム)×時間(4地点)の分散分析の結果、『感謝する心』(F(6,237)= 4.45,p < .001)で交互作用が有意であった。また時間(4地点)において2016年度と比較すると『礼儀マナー』など3尺度を除く『コミュニケーションスキル』などで主効果が見られた。すなわち、2016年度の取り組み以降、試合出場頻度に関わらず、部員が役割に応じた取り組みを実装したことがその要因と考えられる。