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[生涯スポーツ-A-05] 障害者スポーツ・レクリエーション体験会における障害者の継続的なスポーツ参加につながる主催事業体の行動について
近年日本国内の障害者スポーツ事業が増加の傾向を見せる一方で、障害児者のスポーツ・レクリエーション実施率については、健常者と比べ増加率に伸び悩みが見られる。その中で障害者スポーツ・レクリエーション体験会は、障害者の身体活動普及手段の一つとして推進施策が多々見られるが、スポーツを「体験する」だけではないスポーツ体験会のあり方を検討する必要性が指摘されている。そこで本研究では、障害者スポーツ・レクリエーション体験会において、参加する障害者を取り巻く環境の構造を明らかにし、その後のスポーツ継続に影響する事業体の行動について検討することを試みた。対象は東京都の障害者スポーツポータルサイトから目的的サンプリングによって抽出された、2014年度から2019年度の間に障害者が訪れる体験会を開催した5つの事業体とし、担当者に2020年7月から10月を調査期間として半構造化面接を行った。分析はTA(Thematic Analysis)をBrown & Clarke (2006)が提示する手順を参考にして用い、対象間を横断したテーマを生成することとした。その際、Bronfenbrenner(1979)が提唱する生態学的システム理論をもとに演繹的に分析を進めることとし、分析の厳密性を確保するためBoyatzis(1998)を参考に過程を参考記述箇所と共に書き記した。その結果生成された10のテーマと30のサブテーマをもとに、障害者の体験会参加に関わる周囲の個人や組織の行動とその関係を入れ子のような段階をもつ構造で表した。その結果、主催者である事業体が全ての構造段階に関わり、体験会内部の関係者や外部の関係団体と連携をとる多角的なアプローチを行っていることが推察された。また、障害者のスポーツ継続に影響を及ぼす行動としては、「情報支援の継続」と「障害者と支援者の運動に関する認識の共有」などが示唆された。