3:15 PM - 3:55 PM
[生涯スポーツ-SA-1] Body and Cohesive Society
Towards paradigm change of a sport
<演者略歴>
1957年富山県生まれ。筑波大学大学院博士課程体育科学研究科単位取得退学。体育社会学、スポーツ社会学を専攻。九州大学、奈良女子大学を経て、現在、筑波大学体育系教授。教育学博士(筑波大学)。日本体育・スポーツ・健康学会副会長、日本スポーツ社会学会会長、文部科学省学習指導要領作成協力者(高校保健体育、座長)など。
1957年富山県生まれ。筑波大学大学院博士課程体育科学研究科単位取得退学。体育社会学、スポーツ社会学を専攻。九州大学、奈良女子大学を経て、現在、筑波大学体育系教授。教育学博士(筑波大学)。日本体育・スポーツ・健康学会副会長、日本スポーツ社会学会会長、文部科学省学習指導要領作成協力者(高校保健体育、座長)など。
近代スポーツは、それまでのスポーツと異なり、明らかに自由な身体を「あえて」不自由(=障害者)にするルール(拘束)を設けることで、身体の楽しさを安全な状態で長引かせる享受の仕方として発明された。それが特権階級(レジャークラス)から労働者階級まで、等しく享受されるべきであるとするのが「みんなのスポーツ」である。これに対して、生涯スポーツは、その身体の不自由さの許容範囲をライフステージに応じて自由に改変し、スポーツの自己目的的な楽しさ享受自体が、全生涯にわたる自己開発享受につながる自発的な学習を導くとする概念である。そこでは、結果を求めていながら、その過程自体を重視するパラダイムが生まれる。共生社会とは、誰しもが、どのような年齢や環境においてもそのような学習が保障されることを認め合い、QOLを実現する楽しさを共に享受する社会であるとすれば、生涯スポーツにおけるスポーツの概念自体がそれを内包していると考えることができよう。したがって、ここでの議論は、現代スポーツが、なぜ競争の結果のみを社会的に重要視し、本来の共生社会を実現する社交的パラダイムを見失うことになったのかを明らかにすることである。