日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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スポーツ文化研究部会 » 【課題A】グローバル課題の解決に向けてスポーツから何が提案できるか

スポーツ文化研究部会【課題A】口頭発表①

2021年9月7日(火) 13:30 〜 14:45 会場9 (Zoom)

座長:榎本 雅之(滋賀大学)

14:25 〜 14:45

[スポーツ文化-A-04] 五輪事前キャンプ地のスポーツガバナンス

バブル方式のエスノグラフィー

*溝口 紀子1 (1. 日本女子体育大学)

2021年2月、新型コロナウィルス(Covid 19)が感染拡大する中、東京五輪大会組織委員会が公表した規則集には、バブル方式が採用された。バブル方式とは、開催地を大きな泡で包むように大会を運営し、選手や関係者の外部との接触を遮断する「バブル」方式である。 

入国前後や大会期間中の定期的なPCR検査に加え、大会開催地では厳しい外出制限を設け隔離対応をする。このようなバブル方式は、現在、国際スポーツ大会の「新しい様式」として定着しつつある。

東京五輪の感染対策としてのバブル方式の具体例とは、選手は出国前72時間以内にCovid19検査を受け、大会期間中も定期的に実施される検査を受ける。次にCOCOAや健康管理アプリをダウンロードしなければならない。また行動範囲は選手村と競技会場、練習会場に限定され、移動に公共交通機関を利用することはできない。入国後も、選手の行動範囲を競技会場と練習会場、選手村に制限される。さらに大会終了後は原則、48時間以内に出国しなくてはならない。

とはいえ、このように厳格で徹底した感染対策を実施することは、感染リスクを減少させる一方で、バブル(外部隔離)内に置かれる選手はストレスが増すと考えられる。五輪という極限の緊張感の中で、バブル内に置かれた選手はどのようなストレスを抱え、バブルの環境を受け入れ大会を迎えるのだろうか。

本研究では、海外チームの現地アテンドとして、チームの事前キャンプに帯同し、バブル内での五輪選手の生活環境における心境の変化や組織内のガバナンスについてエスノグラフィの手法で分析を行う。とりわけ海外選手が抱える環境のストレスや行動変容、バブル方式の課題について明らかにすることを目的とする。