日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー06] テニスダブルスにおける前衛の視線行動に関する研究

〇川浪 哲如1、高井 秀明2 (1.日本体育大学大学院、2.日本体育大学)

テニスでは短い時間の中で、目まぐるしく変化する状況を読み取りプレーを遂行する必要がある。シングルスのボレーに関する研究では、ボール速度によってステップのパフォーマンスが変化すると報告されているが(Chow et al., 1999)、視線行動に関しては未だ検討されていない。そこで本研究では、バーチャルリアリティ(VR)技術を活用し、ダブルスの前衛の視線行動について検討することとした。実験には、経験群としてA大学硬式テニス部に所属する男性19名(年齢19.7±0.9歳:競技年数10.9±3.2年)、未経験群としてテニス未経験男性19名(年齢22.1±3.0歳)が参加した。実験課題は、Vive pro eyeによってダブルスゲームの一場面をVR環境下に投影して視聴する映像視聴課題とした。データ分析にはTobii pro lab VR360を用い、興味領域を前衛と後衛に設定して映像全体の注視時間を抽出した。前衛、後衛への注視時間について3要因(群:2×フォーメーション:2×打球コース:2)の分散分析を行った結果、前衛では打球コースの主効果がみられ、ストレートはクロスよりも注視時間が有意に長かった(p<.05)。熟練者の注視時間は非熟練者よりも長いことが報告されているが(張ほか、2008)、本研究では異なる結果を示した。本研究では動画全体を分析対象としていることが影響している可能性があるため、今後は、準備期や守備期などのフェーズごとに検討する必要があるだろう。また、バレー選手を対象に視線行動について検討した研究では、ボールの後を追いかけるように視線を配置させ、次のインパクト前には受け手に視線を先回りさせることが示されている(梅崎、2017)。ストレートは相手前衛付近を通るため、それに伴って前衛に視線が侵入し、注視時間が長くなったものと推察される。