日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー09] スポーツにおける錯覚の知覚対象の属性による分類

〇兄井 彰1 (1.福岡教育大学)

同じ速度のボールでも、暗いところでは明るいところよりも速く見えるといったスポーツにおける錯覚は数多く知られてる。本研究では、このスポーツにおける錯覚について、実際の事象を収集し、ボールの大きさや速さといった知覚対象の属性により分類を行い、どのような知覚・認知に錯覚が生じているかについて明らかにする。スポーツにおける錯覚の経験が多いと予想されるスポーツ系の学部に所属する大学生及び大学院生の1026名に調査を行った。「あなたが今までにスポーツや運動する中で、感じたり経験した錯覚はどのようなものがありましたか」という質問に自由記述形式で回答させることで事象を収集した。さまざまな運動種目において、966項目の事象を収集した。この事象を質的研究法のKJ法により分類を行った。その結果、知覚対象の属性から、16のカテゴリーに分類できた。この16のカテゴリーは大きく分けると知覚的錯覚と認知的錯覚に二分できた。知覚的錯覚は、知覚対象の属性として、速さ、距離、広さ、大きさ、高さ、重さ、時間、傾き、位置、ボールの軌道の10のカテゴリーで形成された。また、認知的錯覚は、運動の行いやすさ(やりにくい・やりやすい)、プレーの成否(上手くできない・上手くできる)、見やすさ(見にくい・見やすい)、アスリートの特徴(実力・強さ、技能・上手さ、格好・見た目)、身体感覚(疲労、調子・コンディション)、心理的側面(意欲、注意集中)の6のカテゴリーで形成された。このようにスポーツにおける錯覚は、運動遂行時のさまざまな知覚や認知に見られ、数多くの要因が関与していた。このようなスポーツにおける錯覚は、実際のパフォーマンスに対して正負両面の影響を及ぼしている可能性が高い。そのため、このような錯覚の特徴を正確に把握することでパフォーマンスの低下を抑制し、向上に役立てることができると考えられる。