日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー10] 物体の運動予測課題における試行回数の錯覚量変化

性差に着目して

〇永田 直也1、山﨑 紀春2、戸枝 美咲5、新井 健之3、竹市 勝4 (1.慶應義塾大学、2.日本大学、3.高千穂大学、4.国士舘大学、5.日本女子大学)

【はじめに】
球技スポーツにおいて物体の運動を認知・予測することは、ボール捕捉のために重要なスキルである。これまでに男子大学生の運動物体に対する予測特性を検討し、試行回数の増加に伴って物体の運動予測が変化したことを示した。そこで、本研究では、大学生を対象に男女のデータを比較し、運動物体の予測特性について性差を検討したので報告する。
【方法】
被験者は、大学生27名(男子20名、女子7名)とした。自作プログラムの画像を提示した。提示画像は以下の通りである。運動物体(ボール)は、画面の左端から右方向へ等速で水平移動した。画面中央から左側に目盛の付いた長方形エリア(板)を設置し、ボールは板の左端から板に隠れるように移動させ、認知・予測時間(ボールが板左端通過後から板変色までの時間)後に板を変色(視覚刺激)させた。被験者は、視覚刺激提示時刻のボールの位置を目盛にて回答(回答位置)した。認知・予測時間はランダムに提示し30試行した。
横軸に認知・予測時間、縦軸に板左端からのボールの移動距離をとり、回答位置のプロットから回帰直線を求め、傾き(距離/時間)を被験者が予測した認知・予測時間中の運動物体速度(予測速度)とした。そして縦軸との切片を視覚刺激提示による進行方向への位置錯覚量とした。分析は10試行毎に行った。
【結果・考察】
試行回数別の予測速度と切片の性差を検討した結果、予測速度に関して、試行回数の増加に伴い、男子は有意に減少し女子は変化しなかった。切片に関して、男子は試行回数に関わらず変化がないが、女子は一程度試行を繰り返した後に低下した。以上の結果から、女子よりも男子の方が物体の運動予測錯覚が試行回数の影響を受ける傾向が見られた。逆に、視覚刺激提示時刻の進行方向への位置錯覚量は、男子よりも女子の方が試行回数の影響を受ける傾向が見られた。