日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー17] スポーツパフォーマンスの低下を予測するSport Grid-Revisedの妥当性

〇藤井 萌1、水落 文夫2 (1.日本大学大学院、2.日本大学)

スポーツパフォーマンスの変化と影響要因に関しては、これまで様々な研究がなされ、その成果として逆U字仮説や多次元不安理論、IZOF理論などが提唱されてきた。しかし、チームスポーツで突然試合の流れが変わったり、選手のパフォーマンスが突然、急激に低下するという現象を、これらの理論で説明することは難しい。Hardy and Fazey(1987)が提唱したカタストロフィモデルは、パフォーマンス軸と生理的覚醒軸に認知不安の軸を加えることで、ヒステリシスと呼ばれる急激なパフォーマンスの落ち込みを説明している。しかし、認知不安と生理的覚醒を独立させ3軸で構成するというモデルの複雑さと、それに伴う評価指標の未整備が原因となり、モデルの検証は十分に行われていないようである。そこで、スポーツ実践の場での評価を想定した簡易測定可能な心理尺度Sport Grid-Revised(SGR)が開発された。本研究の目的は、スポーツパフォーマンスの変化に対する認知不安と自覚的覚醒を評価するSGR(日本語版)の妥当性を検討すること、およびカタストロフィモデルの有用性を検証することである。そこで、大学生アスリートを対象にパフォーマンスが最も高かったときとパフォーマンスが最も低かったとき、それぞれの場面を回顧させ、そのときの心理状態をSGR、競技状態不安尺度(CSAI-2)、二次元気分尺度(TDMS)を用いて評価した。そして、SGR(認知不安)とCSAI-2(認知不安)、SGR(自覚的覚醒)とTDMS(覚醒度)の関係、SGRの認知不安と自覚的覚醒度のパターンから妥当性を確認した。また、心理社会的ストレス課題Trier Social Stress Test(TSST)を用いて、認知不安と自覚的覚醒を高め、その後に、ボッチャを模した運動課題を行い、パフォーマンスとSGR の変化からSGRの妥当性を検討した。