日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー22] 高校野球における自己調整学習能力の変容

選手の監督コンピテンシー認知からの検討

〇平野 太一1、梅澤 秋久2 (1.横浜国立大学大学院、2.横浜国立大学)

 本研究は、高校野球における自己調整学習能力の変容と選手の監督コンピテンシー認知との関係性について検討することを目的とした。
 「運動部活動での指導のガイドライン」(文部科学省、2013)において、指導者には生徒の「主体的に自立して取り組む力」の育成が希求されている。その中、高校野球においては指導者による体罰や暴言を伴う不適切な指導が未だ後を絶たず(元永、2020)、選手の主体性を育む指導者行動が求められている。
 自己調整学習は、自らの学習プロセスに対してメタ認知・動機づけ・行動の面で自己調整の機能を働かせながら進められる学習と定義されている(Zimmerman, 2006)。また、自己調整学習は、スポーツ場面においても選手をより優れたパフォーマンスレベルへ到達させるために有効とされている(Toering et al, 2009)。近年、幾留ら(2017)によってスポーツ版自己調整学習尺度も開発され、国内でのスポーツ場面における研究も進み始めている(藤井、2019)。しかし、高校野球に焦点をあてた縦断的な自己調整学習の研究は散見されない。
 そこで、本研究では、高校野球において新チーム発足時とチームの成熟期を迎える春季大会後における自己調整学習能力の変容を調査した。その際、高松・山口(2016)が作成した「高校野球における監督のコンピテンシー尺度」を援用し、選手が監督のコンピテンシーをどのように認知しているのかを併せて調査した。つまり、自己調整学習能力の変容と選手の監督コンピテンシー認知にどのような関係があるのかを分析することで、選手の主体性を育むための指導者行動を示す契機になると考えた。
 研究方法は、某県内20校875名の高校野球部員を対象とし質問紙調査を実施した。分析方法は、監督のコンピテンシー尺度の因子得点を群分けし、自己調整学習能力の因子ごとにその変容を一元配置分散分析にて検討した。