日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー25] ダンスにおける道具を活用した間接的な身体接触の心理的効果

〇松浦 佑希1、中塚 健太郎2、坂入 洋右3 (1.宇都宮大学、2.徳島大学、3.筑波大学)

体育授業において、体育特有の身体接触に心理的抵抗感を抱いている者がいることや、昨今ではCOVID-19による身体距離の確保の必要性といった背景から、身体的な交流を実施する際の工夫が求められている。本研究では、ダンスの授業において、道具を活用した間接的な身体接触で行うリズムダンスを提案し、その心理的効果を検討した。
方法として、3分間のリズムダンスを相手に接触しない条件と道具(フェイスタオル)を介して間接的に相手と接触する条件で実施し、同じリズムダンスの効果の接触の要因による違いを比較した。健康な大学生53名をペアの相手との交流方法の違いによって無作為に2群(接触無し群25名、間接接触群28名)に分け、群ごとに3分間のペアで行うリズムダンスを4回実施し、4回目は接触条件を入れ替えた。1~3回目のダンスの実施前後に、気分の変化、楽しさ、他者との一体感、ペアの相手との親密度、ダンス時に意識していたことについて経時的な変化を測定し、4回目のダンス実施後は、2つの条件の違いについて回答を得た。
その結果、気分、ペアの相手との親密度の変化について、接触条件による違いは確認されず、両群で快適な気分の向上(ps.<.001)と親密度の向上(ps.<.001)が確認された。ダンス時の指導者の動きへの意識については、間接接触群のみ有意に低下した(p.<.001)。間接的であっても相手と繋がっていることによって、自然とペアの相手に意識が向きやすくなったと考えられる。また、間接接触条件と接触無し条件の違いとして、両群ともに間接接触条件の時に他者との一体感や親密さをより感じたという回答が得られた。
ペアダンスを実施する際に、道具を活用し間接接触でペアダンスを行うことによって、一定の距離を保ったままであっても、他者との一体感や繋がりを感じながら、楽しく快適な気分で踊ることが可能であることが確認された。