The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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専門領域別 » Psychology

体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー28] 熟練保育者の領域「健康」のねらいに対する認識の分析

〇Takahiro Nagayama1 (1.Ishinomaki Senshu Univ.)

本研究の目的は、幼稚園教育要領に示された領域「健康」のねらいに対する熟練保育者の認識を明らかにすることである。調査は、教員免許更新講習の参加者を対象に実施した。講習終了後に、アンケートを配布、調査内容を説明し、調査への参加を承諾した場合のみ回答するように求めた。アンケートは、領域「健康」の3つのねらいを達成するための条件を自由に記述する形式で実施した。本研究では、保育所、幼稚園、こども園にて通算10年以上の勤務経験を有する17名の回答結果を分析対象とした。データ分析は、北村ほか(2005)による質的データ分析法に従って行った。分析の結果、221の意味単位が形成され、これらの意味単位は、「発達に応じた活動選択」、「継続的な取り組み」、「指導的関わり」、「受容的関わり」、「興味の誘発」、「遊びこむ体験」、「称賛的関わり」、「成功の可視化」、及び「個を通した集団の刺激」の9のサブカテゴリーに分類された。最終的に、熟練保育者の領域「健康」のねらいに対する認識を説明するものとして、1)「達成支援」、2)「楽しさの保障」、そして3)「経験の肯定的意味づけ」の3カテゴリーが形成された。熟練保育者は、子どもが領域「健康」のねらいを達成するためには、まず子どもの発達に応じた活動を選択し、ときに指導的な関わりをしながら、継続的に活動に取り組むことを通して、子ども達が活動の中で達成を経験できるように支援することが必要だと認識していた。また、子どもの興味・関心を認めて活動に取り入れたり、興味を誘発する環境を構成したり、子ども達が遊びこめる機会を提供することで活動の楽しさを保証するべきだと考えていた。さらに、子ども達の達成を称賛したり、達成を可視化したりすることで活動での経験を肯定的に捉えることができるように働き掛けることが、子どもたちが領域「健康」のねらいを達成することにつながると認識していた。