日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー29] 新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策に伴う大学生アスリートの心理的・身体的特徴の経時的変化

〇髙橋 由衣1、高井 秀明1 (1.日本体育大学)

新型コロナウイルス感染症の流行によって、人々は様々な心理的・身体的影響を受けている。大学スポーツでも自治体や政府の方針に従って活動することが求められており(一般社団法人大学スポーツ協会、2020)、大学生アスリートは競技活動の制限を余儀なくされてきた。未だ収束の兆しが見えない状況の中で活動している大学生アスリートは、感染症が流行し始めた頃よりも気分や身体症状の悪化、練習意欲の低下などといった問題・課題を抱えていることであろう。そこで本研究では、第1回目の緊急事態宣言から緊急事態宣言解除後までの心理的・身体的特徴の変化について明らかにすることを目的とし、POMS2、SOC、身体症状の負担感から検討することとした。本調査はA大学に所属する学生を対象とし、緊急事態宣言発令中の2020年5月上旬と緊急事態宣言解除後の2020年7月下旬の2回に分けて実施した。全調査対象者は1083名であり、大学生アスリートのみを分析対象者とした。本調査では身体症状および調査時期における下位尺度得点を比較するため、2要因の分散分析を行った結果、身体症状高群は身体症状低群よりもAH、CB、DD、FI、TA、TMD、SSS-8の得点が有意に高かった。また、身体症状高群の緊急事態宣言中は緊急事態宣言後よりもSSS-8の得点が有意に高かった。これらのことから、身体症状が高い大学生アスリートは、ネガティブな気分・感情の表出が多く、ストレス対処力が低かったといえる。さらに、緊急事態宣言が解除されたとしても、依然として感染拡大防止対策に努めながら競技生活を送らざるを得ないというストレスが身体化(中込、1999)したことによって、身体症状の負担感が高まったものと考えられる。したがって、継続的にアスリートの心理的・身体的問題を把握していくとともに、中長期的な心理支援のあり方についても検討していくことが求められるだろう。