日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー34] 薬学部学生に対する体育実技を通した健康教育ならびに行動変容理論の学習が運動意図とその背景要因に及ぼす効果

〇雨宮 怜1、窪田 辰政2 (1.筑波大学、2.静岡県立大学)

本研究の目的は、体育実技を通した薬学部学生への健康教育ならびに行動変容理論の学習が、運動意図とその背景要因に及ぼす影響について検討することであった。対象者はA大学薬学部に在籍し、身体活動の講義を受講して介入群に設定された1年生95名(男性=56名、女性=39名、年齢=18.62、SD=1.01)であった。介入群には、1回の講義内容としてオンデマンド型の動画資料の視聴を求めた。当該資料は心理的ストレスと身体活動の関係、行動変容理論、技法の実施などから構成され、視聴時間はおよそ70分であった。講義の効果を検証するために、A大学の栄養学・経営情報学部に在籍し、異なる体育実技講義を受講した1年生61名(男性=29名、女性=32名、年齢=18.26、SD=0.51)を対照群とした。対照群には身体活動に関する課題が与えられ、その課題を1回の講義時間内に実施することを求めた。講義の実施前後に、両群の対象者に1)運動セルフ・エフィカシー尺度、2)運動意図尺度、3)自作の身体活動の講義に関する結果予期項目から構成されるアンケートフォームへの回答を求めた。本研究の結果、運動セルフ・エフィカシー尺度は両群ともに講義の実施前後で得点が上昇した(p<.001)。運動意図(p<.05)や結果予期の項目群(ps<.10―.001)については、交互作用が有意・有意傾向であり、講義の実施前後で介入群の得点が有意に上昇した(ps<.10―.01)。さらに、介入群における変数間の変化量と運動意図の変化量の関係を検討した結果、運動セルフ・エフィカシーや「薬学を専門とする上で身体活動の授業やそこで得られる知識が将来役に立つ」という結果予期が有意な正の関連性を示した。そのため、身体活動の講義や知識が自身の専門に役立つことの予期が、薬学部学生の運動意図を高めるうえで有効であることが示唆された。