The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Poster (Subdiscipline)

専門領域別 » Psychology

体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー35] 学生アスリートのウェルビーイングに影響を与える要因の特定

〇Kae Ebihara1, Shinzo Yamada1, Kazuki Inagaki1, Hirokazu Matsuo1 (1.University of Tsukuba)

近年、日本では大学スポーツの振興が進められている。第2期スポーツ基本計画では、運動部活動を統括するアスレチックデパートメント(AD)のような部局を大学に設置することを奨励し、実際にいくつかの大学は運動部を統括する部局を始動させている。しかしそのような部局の設置は、日本の大学にとって新しい取組である。そのため、ADが学生アスリートに対して行う望ましい支援についてはまだ明らかとなっていない。したがって本研究では、学生アスリートのウェルビーイング(WB)に焦点を当て、WBの向上に影響する要因を特定することで、ADが学生アスリートに対して提供する望ましい支援について検討する。
本研究では20名の学生アスリートにインタビュー調査を実施した。学生アスリートに対して、WBを評価する尺度であるWell-being 5の質問に回答する際の判断要因を尋ねる質問をした。インタビューデータは、グラウンデッド・セオリー・アプローチで用いられているオープン・コーディングに従ってコーディングをし、WBに影響する要因の因子を分析した。その結果、5つのWBカテゴリー全てにおいて、既存の知見と一致する要素が抽出された。さらに、新たに「身体的コンディション」「コート外での個人の役割」「スポーツに関する劣等感」「スポーツにかかる費用」「理想体重」などの因子が抽出された。
本研究から、学生アスリートのWBには、体調や周囲の人との関係が重要であることが示唆された。したがって、ADはこれらの要因を解決するプログラムを提供することで、学生アスリートのWBを向上させることができると考えられる。本研究で得られた知見は、今後、学生アスリートのWB向上のための学生のニーズに合った支援プログラムの開発に貢献することが期待される。