日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー39] 大学生アスリートにおけるトップアスリートに必要な心理的能力に関する特徴

〇高井 秀明1、髙橋 由衣1 (1.日本体育大学)

日本では、アスリートの心理特性を測定する目的で体協競技意欲検査(松田ほか、1981)や心理的競技能力診断検査(徳永ほか、1988)が代表的な心理尺度としてこれまでに利用されてきた。このような状況で、立谷ほか(2020)はトップアスリートの心理特性を簡便かつ的確に評価する目的で、JISS競技心理検査(J-PATEA)を開発している。本研究では大学生アスリートを対象とし、トップアスリートに必要な心理的能力に関する特徴を検討することとした。本研究は、首都圏にある体育系のA大学に所属する学生を対象者として実施された。分析対象者は765名(男性485名、女性280名、平均年齢20.00±0.76歳)であった。本研究の調査内容は、基本属性とJ-PATEAとした。J-PATEAは、トップアスリートに必要な心理的な能力や態度・行動を自己評価する心理尺度であり、3尺度と10因子から構成されている。本研究では、J-PATEAの尺度と因子の得点を基本属性である競技レベル、競技年数から比較検討した。その結果、競技レベルが高いアスリートは競技レベルが低いアスリートより、心理的スキル、自己理解、競技専心性の尺度の得点が有意に高く、イメージ、自信、目標設定、モチベーション、生活管理、客観性の因子の得点が有意に高かった。これらの結果は、立谷ほか(2020)と概ね同じ結果を示したといえる。また、競技年数が長いアスリートは競技年数が短いアスリートより、心理的スキル、自己理解、競技専心性の尺度の得点が有意に高く、集中力、目標設定、モチベーション、生活管理、自己分析力の因子の得点が有意に高かった。したがって、競技年数を積み重ねることで、トップアスリートに必要な心理的能力は高まるといえる。以上のことから、大学生アスリートの心理的能力は競技レベルや競技年数によって異なる特徴を有することが明らかとなった。