日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー40] 体操選手の演技のイメージ想起中における脳活動の特徴

〇相川 聖1、高井 秀明1、中瀬 卓也1 (1.日本体育大学)

イメージトレーニングの効果を正確に評価するには、客観的な指標を用いてイメージ能力を評価する必要がある。Debarnot et al.(2014)はイメージ能力の違いがイメージ中の脳活動に及ぼす影響を明らかにしており、アスリートのイメージ能力は脳活動から評価できる可能性がある。そこで、本研究の目的は、体操選手を対象としてfNIRSを用いてゆかの演技のイメージ想起中における脳活動の特徴を明らかにすることとした。実験参加者はA大学男子体操競技部員12名であった。実験ではfNIRS(OEG-SPO2,スペクトラテック社製)を用いて実験参加者の前頭前野における酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)を測定した。実験課題として、Imagery task1では実験者が構成したゆかの演技をイメージさせ、Imagery task2では実験参加者が構成したゆかの演技をイメージさせた。また、Baseline task(基本図形のイメージ)を設定し、Baseline taskとImagery task1またはImagery task2を交互に実施させた。その結果、Baseline taskとImagery task1の各Chにおけるoxy-Hbに有意な違いは認められなかった。また、Imagery task2におけるCh1とCh15、Ch16のoxy-Hbは、Baseline taskより有意に高かった(p<.05)。本研究の結果から、実験参加者が構成したゆかの演技のイメージ想起中には、前頭前野のうち背外側前頭前野におけるoxy-Hbの増加が認められた。これまでに熟練者のイメージ想起中には背外側前頭前野の活動が高まることが報告されており(Zhang et al., 2019)、実験参加者が構成したゆかの演技のような熟練した運動のイメージでは背外側前頭前野の活動を高める可能性がある。