The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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専門領域別 » Psychology

体育心理学 ポスター発表

[03 心ーポー41] アスリートにおける身体への意識と反芻・省察傾向との関連

〇Ayaka Hori1, Hideaki Takai1 (1. Nippon Sport Science Univ.)

自己注目は、反芻と省察の2つに分けられる(Trapnell & Campbell, 1999)。アスリートを対象とした研究では、反芻はストレス反応と正の関連、主観的幸福感と負の関連が示され、省察はストレス反応と負の関連、主観的幸福感と正の関連が示されている(Yamakoshi & Tsuchiya, 2016)。このことから、反芻ではなく省察を選択することで心理的適応に至るものと考えられる。反芻や省察には内的感覚、特に身体感覚が関与しており、反芻の抑制や減弱、省察の促進に有用であると考えられる。よって本研究では、身体への意識のあり方が反芻および省察に与える影響について明らかにすることを目的とする。本研究では、A大学学友会運動部に所属する375名(男性201名、女性174名、平均年齢19.93歳)を対象に調査を実施した。反芻および省察を測定する尺度にはRumination-Reflection Questionnaireの日本語版(高野・丹野、2008)、身体への意識を測定する尺度にはBody Awareness Scale(Fujino, 2012)を使用した。その結果、「身体症状」は反芻に正の影響を与え、「身体感覚への意識」は反芻と省察に正の影響を与えることが明らかとなった。つまり、アスリートにとって身体症状を和らげて身体感覚へ意識を向けることが、反芻の抑制や減弱、省察を促進させると考えられる。また、女性や競技年数が短いアスリート、競技レベルが低いアスリートは「身体の実感」が反芻に負の影響を与えることが明らかとなった。さらに、競技年数が短いアスリートは「身体感覚への意識」が反芻にも正の影響を与えることが明らかとなった。よって、アスリートに対して反芻の抑制や減弱、省察の促進を目的としたアプローチを行う際には、性別や競技年数、競技レベルを考慮する必要があると考えられる。