日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育科教育学 ポスター発表

[11 教ーポー05] 小学校体育におけるテニス授業のケース・スタディ

授業の困り感とその解決に向けて

〇大西 祐司1、北村 哲1、小谷 幸平1、津田 恵実2 (1.びわこ成蹊スポーツ大学、2.ウエスト・バージニア大学)

 平成29年改訂の小学校学習指導要領解説において、ボール運動(ネット型)の例示でテニスが初めて示された。これまでのテニスを含む攻守一体型の研究では、テニピンを開発した今井(2012, 2018, 2021)を筆頭に数多く見られる。宮内(2018)は、攻守一体型の先行実践を総括し、それらの実践が用具を用いないものと手に板状のものを装着して行うものに大別されることを報告している。ラケットを使用した実践については、石原ほか(2018)が3時間のテニスプログラムを開発し、学習機会や一定の運動量が確保されたという成果を示す一方で、教師の指導力を課題として指摘している。
 以上の小学校体育授業における攻守一体型に関する研究は、用具なしあるいは手に装着する用具の実践内容の報告や、教材の成果検証を中心に行われてきた。しかし、授業者の視点に立った研究はみあたらず、ラケット使用の可能性については引き続き検討が求められる。
 そこで本研究は、小学校体育においてラケットを用いたテニス授業を実施した際に生じる、授業の困り感とその解決の手がかりを明らかにすることを目的とする。研究方法は、小学校6年生を対象に実施した7時間のテニス授業について、授業者の毎授業後の振り返りの発話内容、単元終了後の半構造化インタビューをデータとして収集した。なお、本実践は授業者と大学教員の協働関係に基づいたアクション・リサーチデザインを用いた。分析には質的帰納法(コーディング)を用いた。
 その結果、①テニスのグラウンドストロークというシンプルな技術ゆえに、教材のバリエーションのイメージが持ちにくいこと、②個人やペアでの活動では人間関係への配慮が必要になること、③ラリーを続けることと断ち切ることの競技特性と関わって、学習者の意識を踏まえつつ学習課題を提示しなければならないこと、に難しさが生じていた。これらの解決の手がかりを見出すことができた。