日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育科教育学 ポスター発表

[11 教ーポー06] 河川での実習及び教室での水泳の事故防止の心得の授業の効果の検証

中学生の海及び河川のリスクに対する認識に着目して

〇稲垣 良介1、岸 俊行2、長谷川 晃一3 (1.岐阜聖徳学園大学大学院国際文化研究科、2.福井大学学術研究院教育・人文社会系部門、3.上越教育大学大学院学校教育研究科)

水難事故に対しては、未然に危険を回避する能力を育成することが重要である。本研究は、中学生に河川での実習(1回)及び教室での水泳の事故防止の心得の授業(1回)を実践し、河川及び海のリスクに対する認識にどのような変化をもたらすのか検証した。中部地区A中学校の1年生47人を対象とした。調査紙は、A4用紙の上半分に河川(もう一方は海)の写真を示し、「あなたは、川(下の写真)で遊ぶ際に、気をつけることは何ですか。記入らんに、箇条(かじょう)書きで、書いてください。」と記載した。授業と調査の時系列は「事前調査―河川での実習―事後調査―教室での水泳の事故防止の心得の授業-遅延調査」であった。3回の調査で得られた回答について、KHCoderを用いてテキストマイニングを実施した。「河川」に対する回答を分析したところ、実習後は、「歩く」と「心構え関連」及び「危険要因関連」のグループに新たな共起関係がみられた。対象生徒は、河川を歩行するという経験を通して、人的及び物的環境の危険要因を関連付けて認識すると推察された。教室での授業後は、「ライフジャケット」、「ルール」が新たにみられた。ライフジャケットは、河川での実習で用いたにもかかわらず、教室での授業後に出現した。ライフジャケットの有用性を認識させるには、活動時に着用させるだけでなく、知識として学習する機会は重要である。「海」に対する回答を分析したところ、実習後は、「クラゲ」が中心からはずれ、強い共起関係で結ばれたグループが増加(4から5)した。対象生徒は、河川での実習で経験したことを海という別の水域にもある程度般化させて認識することが示唆された。教室での授業後は、「離岸流」が新たにみられ、また、語種数が増加した。河川での実習では認識できない内容について、教室での授業によって新たに知識として獲得したことが示唆された。